2025年に入りNVIDIA株は年初来で30%下落し、成長見通しの下方修正が続く中、代替AI銘柄への関心が高まっている。特に、音声AIに特化したSoundHound AIは時価総額40億ドルと小型ながら、売上が前年比101%増と急成長しており、今後の市場拡大余地に期待がかかる。
一方、軍事分野でのAI導入を進めるPalantir TechnologiesもNATOとの提携報道で株価を上昇させたが、売上高倍率は80倍を超え割高感も否めない。両社とも高い成長余地を秘めてはいるが、現在のバリュエーションを考慮すれば、依然としてNVIDIAの方が投資妙味に富むとの見方も根強い。
NVIDIAの株価調整が示す成長株の転換点

NVIDIAは2025年初頭から株価が約30%下落し、成長見通しの修正も重なり、市場は過去のような過熱感を抑える動きを見せている。売上高倍率(PSR)が18.4倍と2023年以来の低水準にあることから、割安感を指摘する声もある一方で、市場全体がAIブームの持続性に再評価を迫られている様相である。特にGPU市場での支配的地位を維持する同社にとって、今後の成長は高性能半導体需要だけでなく、マクロ経済環境や競争環境の影響も無視できない。
こうした中で、NVIDIAの調整は単なる株価変動ではなく、AI関連銘柄に対する市場の評価基準の変化を反映していると捉えるべきである。これまでは成長性が突出した企業に資金が集中する傾向にあったが、現在はより現実的な収益性や評価指標が重視され始めている。NVIDIAの例は、高成長企業にとって「期待先行」の限界を示すと同時に、次なる成長企業を見極める投資家にとっての試金石となりうる。
音声AIに特化するSoundHoundの成長ポテンシャルとリスク
SoundHound AIは音声認識領域におけるAI応用に特化した小規模上場企業であり、2025年4月時点での時価総額は約40億ドル。直近四半期の売上は前年同期比で101%増となる3,450万ドルに達し、業績の急拡大を裏付けた。SNS Insiderの調査によれば、音声生成AI市場は2023年に32億ドル規模であったが、2032年には400億ドルまで成長する可能性があるとされており、このセグメントの急伸が企業成長の追い風となる可能性は高い。
一方で、SoundHoundはPSRが32.5倍と依然として高水準にあり、市場からの期待が既に相当程度織り込まれていることも事実である。さらに、大手テック企業が音声AI領域への投資を加速させている現状において、資金力で劣る同社が持続的な競争優位を築くには、独自の技術革新や用途開拓が不可欠となる。投資対象としては、成長余地とともに市場競争の厳しさも織り込む慎重な視点が求められる局面にある。
軍事分野へのAI展開で注目を集めるPalantir Technologies
Palantir TechnologiesはNATOによるAI軍事システムの正式採用を契機に、株価が急騰した。2025年4月現在、時価総額は約2,100億ドルと大型であるが、それでもNVIDIAの2.4兆ドルと比較すればまだ十分に成長余地があるとされる。今後、国家安全保障や軍事インフラの分野でAIが果たす役割が拡大すれば、同社の事業領域は戦略的に極めて重要な位置を占めることになる。
しかしながら、PalantirのPSRは80.5倍と市場平均を大hきく上回っており、成長期待先行の評価には慎重な見方もある。2025年および2026年には年間30%の売上成長が見込まれているが、それでも現在のバリュエーションを正当化するには相応の収益化が求められる。短期的な材料での株価変動はあるにせよ、中長期での投資判断には、事業の実質的成長と利益創出の確度を慎重に見極める必要がある。
Source:The Motley Fool