NVIDIAとAmazonは、AIインフラ投資の減速観測に対して反論を表明し、それぞれ株価を3%以上押し上げた。オクラホマシティで開催されたエネルギー関連会議において、両社幹部はデータセンターの需要は堅調であり、成長計画に変化はないと明言。Amazonはリーシング停止報道を「憶測」と否定し、NVIDIAも中国DeepSeekの新モデルによる省電力化の影響を「過剰反応」と切り捨てた。

一方、AI拡大による電力消費の加速に対し、Anthropic共同創業者は2027年までに50ギガワット、すなわち50基の原発相当の新たな電力供給が必要になると予測。今後はテック企業とエネルギー業界の連携が鍵を握るとの見方が広がる。

NVIDIAとAmazonが語るAIインフラ需要の実態と市場の誤解

NVIDIAとAmazonの幹部が、AIインフラ投資の鈍化に関する報道を真っ向から否定した。CNBCが報じたカンファレンスにて、Amazonのグローバルデータセンター担当副社長ケビン・ミラーは「データセンター戦略に重大な変更はない」と述べ、リーシング停止観測を「誤読」と断じた。また、NVIDIAのサステナビリティ部門ディレクターであるジョシュ・パーカーも、AI関連計算需要の低下は見られず、DeepSeekによる新AIモデルの省電力効果を過剰に受け取ることを避けるよう呼びかけた。両社の姿勢は市場の混乱を正面から正すものであり、同日、両社株はそれぞれ3%以上上昇した。

こうした姿勢は、AI関連インフラに対する需要が一時的な報道によって過小評価されやすいことを示している。投資家心理は一部の情報に大きく左右されがちだが、実需は継続しており、企業の中長期計画にも大きな修正は見られない。短期的な市場のノイズではなく、構造的な成長要因への理解が今後の判断軸となる。

エネルギー需要の急増に対する業界の見解と次なる焦点

AIの大規模化に伴い、今後の電力需要が深刻な課題として浮上している。Anthropicの共同創業者ジャック・クラークは、2027年までに50ギガワット、すなわち原子力発電所50基分の新たな電源が必要になると指摘。これは、AIの普及が単なるテクノロジーの進展に留まらず、エネルギーインフラ全体を再編成する規模の影響力を持つことを意味する。会議では、電力供給の基盤として天然ガスの役割が強調され、テクノロジー業界とエネルギー業界の連携がより密接になることが示唆された。

このような見通しが示すのは、AIの拡張がエネルギー問題と直結しており、今後は「計算能力の拡充=発電能力の拡張」という等式が成立する局面に入っていくという点である。再生可能エネルギーへの転換が急務とされる中、即応性と安定供給が見込まれる天然ガスへの期待が高まるのも自然な流れである。単なる技術革新ではなく、社会構造全体を巻き込む変化が進行中である。

Source:investing.com