CNBCのジム・クレイマーは、今週の米株市場の反発について、強力な企業決算とホワイトハウスによるパウエルFRB議長批判の後退を主要因とした。S&P500は2.03%上昇、ナスダックは2.74%とテック株を中心に急伸。中でもNvidiaやMetaなどのメガテックが牽引役となった。
クレイマーは、ServiceNowやGE Vernova、Texas Instrumentsといった企業が市場予想を上回る決算を発表したことが、景気後退懸念を払拭したと分析。さらに、安全資産とされたProcter & GambleやPepsiCoの株価下落が、リスク選好の流れを加速させたと述べた。
また、中国との貿易対話を否定した政権の「無言の姿勢」も市場に安定感を与えた要因とされた。特にパウエル議長の独立性を脅かすような政治介入が控えられたことで、投資家心理は急速に回復したと見られる。
企業決算が主導したリスク資産への資金回帰

今週の米国株市場は、ServiceNow、GE Vernova、Texas Instrumentsなどの主要企業が予想を上回る四半期決算を発表したことで急反発した。とりわけ、前四半期に失望を与えたServiceNowの巻き返しが、投資家のリスク選好を刺激し、メガキャップテック株全体に好影響を及ぼした。S&P500は2.03%、ナスダックは2.74%とそれぞれ大幅に上昇し、NvidiaやMeta、Amazon、Tesla、Microsoftの株価がそろって堅調に推移した。
これにより、4営業日連続で下落していた米主要指数は、週後半にかけて連騰に転じた。この背景には、決算結果が米国経済の底堅さを示すものとして受け止められたことがある。また、いわゆる「安全株」とされるProcter & GambleやPepsiCoの冴えない決算が、逆に積極的な資産配分を後押しする皮肉な結果も生んでいる。市場は慎重姿勢から一転し、成長性の高いセクターへの投資に向け舵を切り始めた。
ただし、こうした決算主導型の上昇は持続性を見極める必要がある。今後も企業業績が強気予想を裏切らなければ、リスク資産への資金流入は継続しうるが、1社のネガティブサプライズがセンチメントを一変させる脆弱性もはらんでいる。市場は今、好調な決算を追い風としつつも、変動性の高い地合いにあると言える。
政権の沈黙が市場心理に与えた静かな安心感
ジム・クレイマーは、ホワイトハウスがパウエルFRB議長に対する批判的姿勢を後退させ、ビジネス関連の発言を控えている点を市場の好材料として指摘した。とりわけ、政権が中国との貿易交渉について沈黙を保ち、経済への過度な政治介入を避けたことが、株式市場のボラティリティを抑える効果をもたらしたとされる。市場は、政策の予測可能性を歓迎する傾向にあり、政府の過干渉リスクが薄れた状況に一定の安心感を得た。
特に、トランプ前大統領がFRB議長の更迭を示唆した過去の事例が、中央銀行の独立性に対する不信感を招いたことを市場は記憶している。クレイマーは、パウエル議長を「効果的で独立したリーダーの象徴」と称し、その交代はインフレ管理体制の信頼性に深刻な打撃を与えると述べた。こうした背景から、ホワイトハウスがあえて沈黙を保ったことは、結果的に金融市場の安定に寄与した格好となった。
市場参加者にとって、政治リスクの顕在化は短期的な動揺を招く要因となり得るが、今回の政権の対応はむしろ抑制的に映った。予測不能な発言や方針転換が見られなかったことで、投資家は政策金利やインフレ対応の見通しに対する確信を保ちやすくなったと言える。目立たぬ沈黙こそが、市場に平穏をもたらす一手となった可能性は否定できない。
Source:CNBC