Rippleのステーブルコイン「RLUSD」が2025年4月22日、過去最大規模となる1,200万ユニットのバーンを実施した。これは単なるデフレ戦略ではなく、XRPレジャーからEthereumネットワークへの移行に伴う流動性調整によるものである。RLUSDはオンランプで発行され、オフランプで焼却される仕組みを採用しており、今回のバーンはその最大事例とされる。

Ethereum上では直後に同量が再ミントされており、Rippleのクロスチェーン対応が本格化していることを示唆する。今後はRLUSDのネットワーク間移行が増加する可能性もあるが、それが市場構造に与える影響には慎重な注視が求められる。

RLUSDの1,200万ユニット焼却はEthereumへの移行に伴う措置

Rippleのステーブルコイン「RLUSD」が2025年4月22日、過去最大となる1,200万ユニットのバーンを実施した。これはXRPレジャーからEthereumネットワークへのクロスチェーントランスファーに伴う技術的処理であり、従来のバーンメカニズムやデフレ政策とは異なる。RippleのバリデーターであるVet氏は、Xへの投稿で「この焼却は、ユーザーの流動性ニーズに応じたオフランプ処理である」と述べている。すなわち、誰かが1,200万ドル相当のRLUSDをXRPレジャーからEthereumへ移した結果としてバーンが発生した。

RLUSDは通常、トランザクションごとに極少量が焼却される仕組みを備えているが、今回は一括で大量に処理された点が注目される。また、この処理によってRippleが新たな供給管理モデルを採用したという事実はなく、既存の運用フレームワークの中での対応である。供給制御の変更を意味する動きではない以上、このバーンをもって市場のRLUSD総量に大きなインパクトが生じたと見ることは適切ではない。

この動きはRippleが提供するステーブルコインの柔軟な運用性を示すとともに、クロスチェーン対応の技術的完成度を示す重要な事例といえる。

Ethereum上での再ミントが示すマルチチェーン戦略の強化

RLUSDのバーン直後、Ethereumネットワーク上で同量の1,200万RLUSDが新たにミントされた。これは、Rippleがネットワーク間の互換性と柔軟性を高める戦略の一環と解釈される。特にEthereumはDeFiを中心とした広大なエコシステムを有しており、ステーブルコインの活用先としては非常に適している。RippleがEthereumネットワーク上での運用を本格化させたことで、今後は複数のブロックチェーンを横断する形でのRLUSD流通が活発化する可能性がある。

この一連の流れは、供給の拡大や収縮ではなく、単なるネットワーク上の移動であることがポイントである。トークンは一時的にXRPレジャーから削除され、Ethereum上で等価量が再構成されたに過ぎないため、市場における流通量の変動とは無関係である。だが、Rippleの運営方針として「どのネットワークでもRLUSDを即時に供給・回収できる体制」が整いつつあることは、今後の展開において重要な意味を持つ。

Ethereum上での再ミントは、Rippleの技術的対応力だけでなく、マルチチェーン戦略における現実的な進展を象徴する動きとして注視すべきである。

Source:Finbold