2014年9月に発表され、翌年4月24日に発売された初代Apple Watchは、Appleがスマートウォッチ市場へ本格参入した最初の一歩だった。発表時に公開された広告では、時計らしさをあえて隠したクローズアップ映像から始まり、約40秒後にデジタルクラウンやスクエアデザインが姿を現す構成が採られた。特に四角形ディスプレイは、当時の評論家たちからも通知やテキスト表示に優れると評価されており、Apple Watchのアイデンティティの核となった。

また、ゴールドやローズゴールドケースを紹介した広告からは、高級ライン展開を視野に入れたAppleの意図が見て取れた。その後も進化を続け、現在ではApple Watch SEやUltraなど幅広いモデルが登場し、今秋には第11世代の登場も予想されている。

初代Apple Watch広告に込められた四角形デザインの意義

初代Apple Watchの広告で強調されたのは、他のスマートウォッチとは異なる四角形ディスプレイだった。発表当初のビデオでは、40秒近く経って初めてディスプレイの全貌とデジタルクラウンが映し出され、四角形であることがはっきりと示された。このデザインは、通知やテキスト表示を重視したAppleの考えを象徴しており、当時の評論家からも、丸型に比べて情報閲覧に優れると評価されていた。

Appleは四角形デザインにより、スマートウォッチを単なる時計の延長線ではなく、情報端末として位置づける意図を持っていたと考えられる。競合各社が丸型ディスプレイを採用する中、視認性と操作性を優先したこの判断は、結果としてApple Watchの独自性を強めた。今日に至るまで、四角形ディスプレイはApple Watchの象徴的な要素となっており、ユーザーにも馴染み深い特徴となった。

高級志向を示したゴールドケースと後の展開

初代Apple Watchの広告では、ステンレススチールモデルに加え、ゴールドやローズゴールドのケースバリエーションも紹介された。これは、のちに「Apple Watch Edition」として展開される高級モデルの布石であり、価格も数十万円台に設定されるなど、明確にプレミアム層を狙った試みであった。当時のスマートウォッチ市場では異例のアプローチであり、大きな注目を集めた。

ただし、高級路線は一部の層には受け入れられたものの、広範な支持を得るには至らず、数年後にはEditionラインの方向性も変更された。高級素材を用いる選択肢は残しつつも、より実用性や手頃な価格帯を重視した展開にシフトしていった。この動きは、スマートウォッチが日常使いのツールとして普及していく流れを象徴していたと言える。

発表当時の機能紹介と現在の進化の対比

2015年3月に公開された2本目の広告では、Apple Watchが持つ多様なアプリや機能に焦点が当てられた。フィットネス、メッセージ通知、地図アプリなど、スマートフォンに依存せず日常生活をサポートする役割が強調され、当時としては革新的な提案だった。特に、デジタルクラウンによる直感的操作や、Taptic Engineによる触覚フィードバックは、従来のウェアラブルデバイスにはない新鮮な体験をもたらした。

それから10年を経た現在、Apple Watchはスリム化とディスプレイ大型化を遂げ、Apple Watch SEやUltraといった多様なラインナップも加わった。健康管理機能も大幅に強化され、心電図や血中酸素濃度測定といった医療レベルの機能も標準搭載されるに至っている。当時のビジョンが、今日の完成度に向かって着実に進化してきたことを改めて実感させる。

Source:Digital Trends