米国市場は関税問題により大きな乱高下を見せる中、堅実な資産防衛策として注目されるのが、50年以上連続増配を誇るDividend Kingsである。Barchartのスクリーニングにより、Stanley Black & Decker、Tennant Company、Targetの3社が割安圏にあると選定された。

SWKは電動工具部門の堅調が業績を下支えし、TNCは売上成長を維持するも利益減少に直面、TGTはデジタル強化により底堅さを示した。各銘柄は年間配当利回りに加え、目標株価に対する大幅な上昇余地が指摘されており、長期的なリターンを求める投資家に新たな選択肢を提供し得る。

スタンレー・ブラック・アンド・デッカーの業績回復と配当維持の意義

電動工具とアウトドア用品を手がけるStanley Black & Decker(SWK)は、2024年第4四半期に売上高37.2億ドルを記録し、前年比ほぼ横ばいながらも安定した事業基盤を維持した。Tools & Outdoor部門は前年比2%の増収を達成したが、Industrial部門が15%減少したため、全体成長には至らなかった。

それでも希薄化後EPSは前年のマイナス2.03ドルからプラス1.28ドルに回復しており、収益構造の改善が鮮明となった。年間配当は3.28ドルで、利回り約5.3%という高水準を維持している。アナリストの目標株価は120ドルとされ、現在価格に対して大幅な上昇余地があるとされる。

市場が短期的な不安定さを見せるなか、SWKのように配当を着実に支払い続ける企業は、長期志向の投資家にとって堅実な選択肢となる可能性が高い。ただし、同社の回復は主にTools & Outdoor部門のパフォーマンスに依存しており、Industrial部門の回復なくして本格的な成長軌道への復帰は難しい。従って、今後の投資判断にあたっては、各部門の動向を慎重に見極める必要がある。

テナントカンパニーの売上成長と収益悪化の矛盾

清掃機器大手Tennant Company(TNC)は、2024年第4四半期に前年比5.6%の売上増を達成したが、純利益は79%減少するという対照的な結果となった。提供する製品はTennant、Nobles、Alfa Uma Empresa、Gaomei、Rongenなど多岐にわたるが、利益率の低下が業績全体に暗い影を落としている。

2025年通期見通しでは、有機的売上高が1%〜4%減少する可能性が示唆されており、事業環境の厳しさが窺える。年間配当は1.18ドル、配当利回りは約1.6%と控えめだが、目標株価は143ドルとされ、現行水準から約98%の上昇余地が指摘されている。

収益の急減が懸念材料となる一方で、売上高の堅調推移はTNCの市場競争力の健在を示しているといえる。しかし、今後はコスト構造の改革と収益力の回復が急務であり、単なる売上成長だけでは企業価値の持続的向上には繋がらない。投資家としては、同社の利益体質改善に向けた取り組みの進捗を慎重に見守る姿勢が求められる。

ターゲットの店舗とデジタルの二面戦略が示す底堅さ

小売大手Target(TGT)は、2024年第4四半期に309億2000万ドルの売上高を記録し、前年比3.1%の減収を示した。しかし、比較店舗売上高が0.5%減にとどまる一方で、デジタル売上高は8.7%増加し、総合売上は1.5%のプラス成長に転じた。

これはアナリスト予想を7%上回る結果であり、実店舗とオンラインの両面でバランスの取れた戦略を実行できていることを裏付ける。年間配当は4.48ドル、利回りは約4.7%と高水準を誇り、目標株価は188ドルに設定されている。

ターゲットは、物理店舗とデジタルチャネルを巧みに組み合わせることにより、消費者行動の変化に柔軟に対応している点が特筆に値する。ただし、総売上高の微増に留まっていることから、今後の成長にはさらなるデジタル施策の深化や新たな収益源の開拓が不可欠となろう。安定配当と成長期待の双方を求める投資家にとっては、ターゲットの事業戦略の進化が大きな判断材料となる。


Source:Barchart