マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)は、2025年度第3四半期決算を4月30日に発表する予定である。トランプ前大統領による関税政策が経済減速懸念を強める中、同社の業績はテクノロジーセクター全体の健全性を示す重要な指標となる。過去10年間で売上高と利益がそれぞれ年平均10.85%、16.19%成長しており、直近四半期も売上・利益ともに市場予想を上回った。

AIとクラウド分野でのリーダーシップが強固であり、特にOpenAIとの提携によるMicrosoft 365 Copilotの普及が急速に進展している。アナリストは「強い買い」評価を維持し、平均目標株価を現在水準比26%高の492ドルに設定している。株価の短期的逆風にもかかわらず、同社の堅固な基盤は今後も高い期待を集めると考えられる。

マイクロソフト、10四半期連続で利益予想を上回る堅実な成長

マイクロソフトは、直近10四半期にわたり市場予想を上回る利益を達成してきた。2025年度第2四半期においては売上高696億ドル、前年同期比12.3%増、純利益も10.2%増を記録し、1株当たり利益(EPS)は3.23ドルとなり、アナリスト予想の3.12ドルを上回った。営業キャッシュフローも前年同期の189億ドルから223億ドルへ増加し、現金残高は715億ドルに達した。

短期債務が存在しない点も、財務健全性の高さを物語る。過去10年間では売上高と利益がそれぞれ年平均10.85%、16.19%の成長を示しており、この長期トレンドがマイクロソフトの基礎体力を支えている。これらの実績により、投資家の信頼感は揺るがず、テクノロジーセクター全体の健全性を占う上でもマイクロソフトの業績は重要な指標と位置付けられている。

こうした堅実な成長は、短期的な外部要因に動揺しにくい体質を形成していると考える。特に、関税リスクが顕在化する中でも、財務基盤が安定していることは、投資対象としての競争力を一段と強める要因になり得る。

AIとクラウド戦略で競争優位性を強化するマイクロソフト

マイクロソフトは、AIとクラウドコンピューティング分野での積極的な展開により、競争優位性をさらに強化している。特にOpenAIとのパートナーシップを基盤に、Microsoft 365 CopilotやAzureへのAI機能統合を加速させ、エンタープライズ市場での支配力を高めてきた。

2025年度上半期には、フォーチュン500企業の85%がCopilotを導入しており、これは前四半期の70%から大幅な増加である。Azureにおいても、グローバルクラウドエコシステム内での存在感を高め、Microsoft Fabric、Power BI、Azure AI Foundryなど複数領域でユーザーエンゲージメントを拡大させている。このような戦略的推進力により、マイクロソフトは関税リスクや短期的な逆風を乗り越える体制を整えている。

AI主導の成長戦略は、長期的にマイクロソフトの企業価値を押し上げる原動力になると見られる。特にクラウド事業との相乗効果により、持続的な二桁成長の維持が現実味を帯びており、競争が激化する中でも他社との差別化を着実に進めている点は注視すべきである。

アナリストが示す492ドル目標株価と今後の評価

アナリストの評価はマイクロソフトに対して極めて強気であり、45人中37人が「強い買い」、4人が「中程度の買い」、さらに4人が「ホールド」を推奨している。平均目標株価は492ドルに設定されており、現在の株価水準から約26%の上昇余地を示唆するものとなっている。

マイクロソフトの将来売上高成長率は14.04%、利益成長率は15.75%と予測されており、これはテクノロジーセクター平均(6.76%、10.08%)を大きく上回る数値である。特に、2025年度第3四半期の決算においても1株当たり3.20ドルの利益が予想され、前年同期比で8.8%成長すると見込まれている。

市場の不安定要因が存在する中であっても、財務的な堅牢さと成長期待が両立するマイクロソフト株は、依然として長期ポートフォリオに組み入れる価値が高いと考えられる。特にAIとクラウド戦略による中長期的な収益拡大が確実視される局面において、今後も高い評価が持続するとみられる。


Source:Barchart.com