マイクロソフトは、Windows 11 Build 26100を搭載したSnapdragonベースのCopilot Plus PC向けに、AI機能「Recall」の展開を開始した。Recallは画面上のコンテンツを自動的に記録し、過去に見た情報を自然言語で呼び出せる仕組みを持つ。2024年5月に発表されたが、プライバシー懸念により一時延期され、パスワード保護機能などを強化したうえで、2025年5月のパッチチューズデーに正式提供が始まる。

プライバシー対策を施したとはいえ、Recallがユーザーの画面上の全情報をキャプチャするという設計思想は、根本的な警戒感を払拭できない印象もある。特に個人用途での導入を考える場合、利便性とリスクを慎重に見極める必要があるだろう。

Recall AIが搭載されたCopilot Plus PC向けにWindows 11 Build 26100が配信開始

マイクロソフトは、Windows 11 KB5055627を通じて、Recall AIをCopilot Plus PC向けに正式リリースした。対象となるのはSnapdragon搭載デバイスであり、2025年5月のパッチチューズデー以降、段階的に展開される。Recallは、画面上の動作をキャプチャし、ユーザーが見た情報を後から自然言語で検索できる機能を持つ。たとえば、ファイル名を忘れたPowerPoint資料でも、日常会話に近い表現で探し出せる仕組みだ。

この機能は、2024年5月に発表されたものの、プライバシーリスクが指摘された経緯がある。マイクロソフトはこれを受け、Recallを完全オプション機能とし、さらにパスワードなどの機密情報を自動フィルタリングするモデル改良を行った。これにより、当初懸念された脆弱性への対応が図られている。しかし、すべての問題が完全に解決されたわけではなく、引き続き注意深い運用が求められる状況にある。

Recall AIによるプライバシーリスクへの懸念とマイクロソフトの対応策

Recallの設計思想は、ユーザーの画面上に映ったあらゆるコンテンツを記録するという点に特徴がある。これは利便性の向上には直結するものの、セキュリティ研究者たちは、初期バージョンにおいてパスワードなどの機密情報までもが暗号化されないまま保存されるリスクを指摘していた。この問題を受け、マイクロソフトはRecallを一時的に公開停止し、Windows Insider Programを通じてモデルの見直しを進めた。

現在提供されるRecallには、機密情報の自動フィルタリング機能が組み込まれており、これにより不正アクセスリスクの低減が図られている。ただし、画面キャプチャという本質的な特性上、個人利用や業務用途においても慎重な設定と運用が求められる。特に、第三者が端末に物理的にアクセスできる環境では、Recallが記録した情報が意図せず流出するリスクが残るため、設定時には十分な注意が必要といえる。

Source:BleepingComputer