マイクロソフトは、Windows 11バージョン23H2向けの最終ベータビルド「22635.5305(KB5055636)」をリリースした。本アップデートには、音声入力機能に新たな不適切語フィルター設定が加わり、従来よりも柔軟なコントロールが可能となっている。また、ファイルエクスプローラーのタッチ操作時のクラッシュ問題や、Windowsスポットライトのフライアウト表示不具合、タッチキーボードの入力異常、システム情報セクションの表示バグなど、多数の不具合修正も含まれる。
Windows 11 KB5055636で導入された新しい音声入力フィルター設定の内容

Windows 11バージョン23H2向けに提供されたビルド22635.5305(KB5055636)では、音声入力機能に新たな不適切語フィルター設定が追加された。これにより、ユーザーは音声入力時に不適切な単語をアスタリスクでマスクするか、そのまま表示するかを選択できるようになった。設定は、音声入力画面(Win + H)からアクセスでき、設定アイコンを通じて「不適切語フィルター」トグルを操作する仕組みである。
この改善は、音声入力機能を積極的に利用するシーンにおいて表現の自由度を高めると同時に、場面に応じたフィルター調整を可能とする狙いがあるとみられる。これまで音声入力で自動マスクされていた単語も、意図的に使用したい場合に柔軟に対応できるようになった点は、実用性を重視する利用者にとって歓迎すべき変更といえる。
一方で、公共の場や仕事上での使用を考慮すると、フィルターオフ時のリスクについても慎重な設定が求められる。今後、より高度なカスタマイズが可能となるオプション追加などが期待されるが、現段階ではこのトグル機能自体が音声入力体験の自由度を一段押し上げたことは間違いない。
ファイルエクスプローラーやWindowsスポットライトなど各種不具合の修正内容
KB5055636では、音声入力機能以外にも複数の不具合修正が含まれている。ファイルエクスプローラーでは、タッチ操作時に「表示」ボタンをタップするとアプリがクラッシュする問題が修正された。さらに、Windowsスポットライトの「この画像について詳しく知る」フライアウトが他アプリのウィンドウ上に固定される現象も修正対象となっている。
加えて、タッチキーボード使用時にパスワード入力フィールドへ誤った文字が入力されるバグや、「システム > バージョン情報」セクションの角丸表示の不具合も改善されている。これらの修正により、Windows 11の使用感は着実に洗練されたといえるだろう。
ただし、これらは根本的な機能刷新ではなく、あくまで既存機能の安定性を向上させる範囲にとどまる。とはいえ、こうした細かな修正を積み重ねる姿勢こそが、成熟度を増すOS開発には不可欠であり、日常的な操作の中で不意に遭遇する不便さを解消する意義は小さくない。
バージョン24H2移行前の注意点とXboxコントローラー問題への対応策
今回のビルド22635.5305は、ベータチャネルの利用者がバージョン24H2に進む前の最後の23H2向けアップデートである。移行に際しては、現行ビルドに残る既知の問題、とりわけBluetooth経由でXboxコントローラーを使用した際に発生するバグチェック(ブルースクリーン)問題への対処が重要となる。
この問題は、デバイスマネージャーから「oemXXX.inf(XboxGameControllerDriver.inf)」ドライバーを手動でアンインストールすることで一時的に回避可能と案内されている。しかし、一般利用者にとってドライバーの識別や操作は難易度が高く、慎重な対応が求められる。
今後、公式な修正パッチの提供が待たれる状況ではあるものの、移行作業を円滑に進めるためには事前に不具合情報を把握し、必要に応じた対処を講じておくことが推奨される。特にゲーム利用を想定している環境では、トラブルを未然に防ぐ備えが欠かせない。
Source:Neowin