マイクロソフトは、2025年7月にWindows 11上の「Maps」アプリをMicrosoft Storeから削除し、機能停止を実施すると発表した。これにより、アプリはインストール済みであっても使用不能となり、保存データのみがデバイス上に残されることになる。
廃止の対象はWindowsアプリ版のみであり、Bing Mapsのウェブサービス自体は今後も継続される見通しだ。なお、代替手段としてGoogle MapsやApple Mapsのウェブ版利用が提案されている。
Windows 11からのMapsアプリ廃止とその影響

マイクロソフトは2025年7月にWindows 11上のMapsアプリをMicrosoft Storeから削除し、事実上機能停止とする方針を明らかにした。この措置により、インストール済みアプリも動作不能となり、保存されているナビゲーションデータや地図リンクはデバイス上に残るもののアプリ内で利用できなくなる。特筆すべきは、Bing Mapsそのものは継続提供され、ウェブ版サービスとして引き続きアクセス可能な点である。
この変更は、PC上で地図アプリを積極的に使用する利用者が限られていたことを反映していると考えられる。Windows PhoneやWindows 10 Mobileの時代には重宝されたMapsアプリだが、近年ではスマートフォンでのナビゲーションが主流となり、PC上で地図を利用する場面は大幅に減少した。Windows CentralのSean Endicott氏によれば、ストリートサイド機能など一部のサービスはBing Mapsのウェブ版に引き継がれているが、PC向けの地図アプリの需要縮小は否定できない状況である。
一方で、代替手段としてGoogle MapsやApple Mapsのウェブ版が提案されている点も興味深い。特にApple Mapsは現在ベータ版ながら一定の機能を備えており、PC環境での利用価値が見込まれる。ただし、いずれもアプリケーションではなくブラウザベースでの利用となるため、オフライン環境や常時起動といったニーズには対応しづらい懸念も残る。
かつての象徴だったMapsアプリに見るWindows Phone時代の終焉
Windows 11からのMapsアプリ廃止は、単なる機能削除にとどまらず、Windows Phone時代の象徴的存在がついに幕を閉じる出来事といえる。MapsアプリはかつてLumiaシリーズをはじめとするWindowsスマートフォンのコア機能であり、オフラインマップや詳細なルート案内によって多くのユーザーに支持された。しかしモバイル事業の縮小と共に存在感を失い、PC向けアプリとして細々と命脈を保ってきた経緯がある。
今回の廃止措置により、Windowsエコシステムにおける旧モバイル時代の遺産がまた一つ姿を消すこととなる。この動きは、マイクロソフトがクラウドサービスやAI、Webベースのアプローチへと重心を移している流れを裏付けるものでもある。ただし、PC上でオフライン地図機能を求めるニーズが完全に無くなったわけではなく、特定の環境では代替策の選定が課題として浮上する可能性もある。
さらに、Mapsアプリが消えることで、PC上でのカスタマイズ性や拡張性が求められる地図利用スタイルは変化を迫られるかもしれない。今後はウェブベースのマップサービスを組み合わせた新たな活用方法を模索する動きが広がることが予想される。
Source:Windows Central