世界最大のスイミングプール用品卸売業者であるPool Corp.は、過去に株価を42,000%以上押し上げ、株主に莫大な富をもたらしてきた。ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイも2023年に同社株式への投資を開始しており、その安定したビジネスモデルと継続収益の拡大力が再評価されている。

現在、景気後退リスクや金利上昇の影響で売上と利益は減少傾向にあるが、経営陣は強気のガイダンスを維持している。配当利回りは1.6%と過去最高水準にあり、長期的な成長の可能性を見据えた投資妙味が高まっている状況といえる。

Pool Corp.が築き上げた圧倒的成長モデルと市場支配力

Pool Corp.は、スイミングプール用品、部品、機器の卸売市場で圧倒的なリーダーシップを確立してきた。米国を中心に12万5,000以上の顧客基盤を持ち、カナダ、メキシコ、ヨーロッパ、オーストラリアへも事業を拡大している。特筆すべきは、プールの新規建設にとどまらず、アップグレード・改修、用品・メンテナンスという3分野から収益を得る構造を築き、2024年時点で収益の65%を反復性の高い用品・メンテナンスが占めるに至った点である。

さらに、全米に1,100万以上存在するプール市場を対象に、小規模な競合の買収を繰り返すことで市場シェアを拡大し、規模の経済を追求してきた。設備投資負担が小さいビジネスモデルで生じた豊富なキャッシュフローは、主に自社株買いと配当に振り向けられ、1株当たり利益を押し上げる好循環を生み出している。過去42,000%超という株価上昇は、この堅牢なビジネスモデルの賜物である。

これらの事実から、Pool Corp.の成功は単なる一過性のブームによるものではなく、戦略的な市場支配と財務運営の積み重ねによるものであると考えられる。特にメンテナンス用品市場における高い継続収益性は、今後も企業価値を支える重要な柱となり続けるだろう。

景気後退リスク下でも強気を維持する経営陣の戦略

2025年第1四半期、Pool Corp.は前年同期比で売上高と利益の減少を記録したが、経営陣は依然として年間利益ガイダンスを据え置いている。具体的には、2025年の1株当たり利益(EPS)を11.10~11.60ドルと見込み、2024年実績の11.07ドルを上回る水準を目指している。新規プール設置は金利上昇と住宅建設の減速により影響を受けやすいが、ピークシーズン直前に強気の見通しを維持したことは市場に安心感を与えた。

コロナ禍による2022年のEPS18.43ドルという異常な高水準を経て、現在は正常な成長軌道への回帰が進んでいる。経営陣の姿勢は、高金利環境下でも反復収益型ビジネスに自信を持っていることを示している。特に、用品・メンテナンス部門が売上の大半を占める構造は、不況耐性を高める効果を持つ。

これらを踏まえれば、景気後退局面においてもPool Corp.が財務健全性と収益基盤を維持できる可能性は高いといえる。ただし、さらなる経済悪化が続けば、利益見通しに下方修正が加わるリスクも依然として残されている点には慎重な注視が求められる。

株価評価と配当実績が示唆する投資妙味

現在、Pool Corp.の配当利回りは1.6%と、過去10年以上で最も高い水準に達している。加えて、配当性向は2025年の予想利益の半分以下に抑えられており、財務面での余裕も確認できる。14年連続の配当増加実績は、景気変動下でも安定した株主還元を続けてきた企業姿勢を裏付けるものだ。

短期的には、金利高止まりや消費者心理の悪化が業績に影響を与える可能性があるが、長期的な視点では、安定的なキャッシュフローと配当政策が株主リターンを下支えする力となる。特に、割安感の強い現在のバリュエーションは、リスクを許容できる長期投資家にとって好機となり得る。

これらの状況を総合的に勘案すれば、Pool Corp.は短期的なボラティリティを乗り越えた後、再び株主に優れた成果をもたらす可能性が高いと判断できる。堅実な配当利回りと成長ポテンシャルを兼ね備えた銘柄として、今後も注目に値する。

Source:The Motley Fool