フィリップ モリス インターナショナル(NYSE: PM)の株価が、2025年に入り約40%上昇、過去1年で75%以上の上昇を遂げ、最新決算を受け史上最高値を更新した。成長ドライバーであるZynの米国出荷量は前年同期比53%増加、ヒート式たばこユニット(IQOS含む)も約12%増を記録している。

オーガニック売上高は前年同期比10%増の93億ドル、調整後EPSは17%増の1.76ドルと力強い業績を示した。ZynとIQOSの高粗利益率が収益成長を牽引し、全体粗利益率も改善している。現在のフォワードP/Eは23倍、PEGレシオは0.4未満と、依然割安感が残る状況にある。

フィリップ モリスの成長を支えるZynとIQOSの圧倒的な販売拡大

フィリップ モリス インターナショナル(NYSE: PM)は、スモークフリー製品ZynとIQOSを中心に販売量を大幅に伸ばし、2025年第1四半期において米国でのZyn出荷量が前年同期比53%増の2億200万缶に達した。さらに国際市場では既存の北欧市場を除き182%増という驚異的な成長を示している。

加えて、ヒート式たばこユニット(HTU)出荷量も前年同期比で約12%増加し、特に日本市場で9%、ヨーロッパ市場で7%以上のエンドユーザー向け販売増を記録した。こうした販売実績は、従来型たばこ事業からスモークフリー製品中心への事業構造転換が順調に進行していることを裏付けている。

この成長は、若年層や女性層を中心とした新たな顧客層の取り込みに成功している点が背景にあるとみられる。また、フィリップ モリスは米国市場でのZynの供給能力拡大を進めるとともに、国際市場への積極展開を加速しており、今後さらに成長機会が拡大する可能性がある。ただし、小売段階での在庫補充効果を除いた実需ベースの成長率は約15%に留まっており、今後はマーケティング戦略の強化と流通網の整備が持続的成長に向けた課題となる。

粗利益率向上が示すスモークフリー事業の収益力強化

フィリップ モリスは第1四半期において、為替や買収・売却の影響を除くオーガニック売上高を前年同期比10%増の93億ドルに伸ばし、調整後EPSも17%増の1.76ドルに達した。特筆すべきは、スモークフリー製品であるZynやIQOSの高い粗利益率が全体の収益性を押し上げた点であり、オーガニックベースでの粗利益は16%増加、粗利益率も前年同期比340ベーシスポイント改善している。これにより、伝統的なたばこ製品中心だったビジネスモデルから脱却し、高付加価値製品中心へのシフトが鮮明になった。

ZynやIQOSの普及は、単なる数量増加だけでなく、企業全体の収益構造を質的に変革しつつある。特にZynのようなオーラル製品は、消費者にとって利用しやすく、かつ収益面で高い利幅を確保できるため、フィリップ モリスの中長期的な財務基盤をより強固にする可能性が高い。ただし、競争環境の激化や規制リスクを考慮すると、今後もこの高利益率構造を維持できるか否かは慎重に見極める必要がある。

割安感の残るバリュエーションと今後の投資妙味

フィリップ モリスの2025年予想フォワードP/Eレシオは23倍、PEGレシオは0.4未満とされ、一般的な評価基準から見ても割安感が指摘される。さらに、オーガニック売上高成長率は6%から8%を見込み、通貨除外後の調整後EPS成長率は10.5%から12.5%を目標としている。加えて、3.2%のフォワード配当利回りを有する点も安定的な収益源として魅力的である。これらの指標は、同社がディフェンシブな業界に属しながらも成長性と収益性を兼ね備えていることを物語っている。

特に注目すべきは、フィリップ モリスが米国内におけるZyn生産能力拡張や、IQOSの本格展開を進めることで、今後さらに成長ドライバーを多様化できる可能性がある点である。為替リスクを除いた場合の高い利益成長率も、投資家にとってポジティブな要素といえる。ただし、現株価水準が過去に比べ大きく上昇しているため、短期的には調整局面に備える慎重な姿勢も必要となる。

Source:The Motley Fool