アルファベットとメタ・プラットフォームズは、米国当局による反トラスト訴訟に直面し、株価がそれぞれ27%と32%下落した。規制リスクにより主要事業の売却や分離の可能性も懸念されるが、両社は広告収益とAI領域で圧倒的な強みを維持している。特にアルファベットはGoogle検索とクラウドAI、メタはオープンソースAIモデル「Llama」やハードウェア事業を拡大しており、成長期待は揺らいでいない。
反トラストリスクは無視できないものの、エコシステムの堅牢性やAI事業の拡張により、現状の株価水準は長期投資家にとって好機となる可能性がある。特に、両社のPEGレシオが割安水準にある点は注目に値する。
アルファベットとメタの反トラスト訴訟がもたらす現実的なリスク

アルファベットとメタ・プラットフォームズは、米国当局による反トラスト訴訟に直面し、業界支配力に対する厳しい監視を受ける状況にある。アルファベットはGoogle検索とオンライン広告に関して2件の訴訟で既に敗訴しており、今後、Chromeブラウザの売却やAppleへの検索エンジン配置料支払い停止といった是正措置が求められる可能性が指摘される。
一方で、連邦取引委員会(FTC)はメタのInstagramおよびWhatsApp買収に関する攻撃的手法を問題視し、事業分離を求める訴訟を提起した。これらのリスクは、両社の事業モデルと収益基盤に一定の影響を及ぼし得る。
しかし、アルファベットはChromeブラウザ単体でも世界シェア66%を有しており、仮に売却が命じられても、GmailやGoogleドキュメントなどの強固なエコシステムにより、ネットワーク効果の喪失を完全には防げると見られる。メタの場合は、エコシステムの層が比較的浅いため、仮にInstagramやWhatsAppの売却を強いられた場合、経営基盤に直接的な打撃を受ける可能性が高い。現時点では、規制リスクの具体的な規模や影響度は不透明であり、冷静な状況判断が求められる。
株価下落局面におけるアルファベットとメタの成長ドライバー分析
アルファベットとメタは株価がそれぞれ27%、32%下落したにもかかわらず、依然として将来的な成長エンジンを有している。アルファベットはクラウド領域でAI技術を活用した拡大を進めるとともに、自動運転タクシー事業「Waymo」や量子コンピューティングの研究開発にも注力している。
また、個人および企業向けに競争力あるAIモデル「Gemini」を展開し、次世代技術への布石を打っている。メタにおいても、オープンソースAIモデル「Llama」の普及や、Meta Questヘッドセット、AIスマートグラスなどハードウェア分野での拡大を図っている点が目立つ。
特に注目すべきは、PwCが指摘するAI市場の将来的な数兆ドル規模の成長予測であり、両社がAI関連技術の中核を担う立場にあることだ。短期的な規制リスクが存在する一方で、これらの成長分野に対する中長期的な期待は後退していない。アルファベットとメタのPEGレシオがそれぞれ1.2、1.4と割安水準にあることを踏まえると、現在の株価下落局面は将来リターンを見据えた投資好機と見なす余地がある。
Source:The Motley Fool