Appleは、iOS 19でSiriのアーキテクチャをゼロから再設計する計画を進めている。従来の二重構造による不具合を解消し、一貫したパフォーマンスを実現することを目指す。6月のWWDCで発表され、2026年春に正式リリースされる見込みだ。

これに伴い、AppleはAI部門の大規模なリーダーシップ刷新を実施。Vision Pro責任者マイク・ロックウェルがSiri開発を指揮し、音声認識やユーザー体験チームの再編に着手している。長年蓄積された問題を克服するための本格的な改革が始まった。

iOS 19でSiriが再出発 二重システム統合とアーキテクチャ刷新へ

Appleは、iOS 19でSiriのアーキテクチャを一新し、従来の二重構造を統合する計画を明らかにした。iOS 18版Siriは、従来型コマンドと高度なクエリを別個に処理する2系統の脳を持ち、不具合と混乱を招いていた。Bloombergの報道によれば、これらを一本化する設計が進められ、6月開催のWWDCで発表、2026年春のiOS 19.4に組み込まれる見通しである。

Appleは、この刷新によって10年以上使われてきた旧来のアーキテクチャに終止符を打ち、より高精度かつ一貫性のあるアシスタントを目指す。従来版は時間不足により開発が急がれ、意図した機能を満たせない状態にあったとされるが、今回は時間をかけて開発体制を整備している点が異なる。

新たなSiriの設計思想には、ユーザーデータの適切な活用と、リクエスト変更への柔軟対応が組み込まれており、従来問題とされた応答の不自然さを解消する試みがうかがえる。iOS 18で果たせなかった課題克服が、Appleにとって喫緊の命題となっている。

Siri改革を牽引するマイク・ロックウェル Vision Pro開発経験を活用

Appleは、Siri改革を加速させるため、Vision Pro部門を率いていたマイク・ロックウェルを新たな指導者に据えた。ロックウェルは、音声認識、理解、パフォーマンス、ユーザー体験の各チームに対して広範なリーダーシップ刷新を行い、開発陣の構成を大胆に再編している。社内では、旧体制に対する不満が蓄積していたとされ、今回の人事は極めて重要な転換点とみられる。

ロックウェルの起用により、Vision Pro開発で培われた高い技術水準とユーザーインターフェース設計思想が、Siriの改善にも応用される可能性が指摘されている。特に、リアルタイムでのユーザー入力解析と応答精度向上は、彼の得意分野である。

もっとも、Siriの長年の課題を一朝一夕で克服できるとは限らず、Apple内部でも持続的な改善プロセスが求められる状況にある。リーダー交代と体制刷新が実を結ぶかどうかは、今後の具体的な機能リリースと利用者の評価にかかっている。

Source:9to5Mac