Amazon(AMZN)は、内部で進めていた「Project Greenland」により、GPUインフラ確保を成功させ、AI分野での競争優位を強化した。2025年に向けAWSインフラへ57億ドル以上を投資し、自社製チップ「Trainium」の拡大も進めている。小売とクラウド支配力を維持しつつ、AI需要増加への先手を打った形である。

一方、AMZN株は先週だけで9%以上上昇し、5月1日の決算発表に向けた市場の期待感を反映した動きとなった。最新のアナリスト評価は「強い買い」が大勢を占め、平均目標株価247.51ドルと、現在価格から32%の上昇余地が示されている。事業成長と収益モメンタムの継続が注視される。

Project GreenlandがもたらしたAI戦略成功とインフラ拡大の意義

Amazon(ティッカー: AMZN)は「Project Greenland」により、AIアプリケーション向けGPUインフラの早期確保を実現し、競合他社に対して優位性を確立した。Microsoft(MSFT)やMeta Platforms(META)がチップ不足に直面する中、2023年に着手したこの取り組みは、AWSインフラへの優先投資と厳格な資源管理により成果を挙げた。

特に、2025年には57億ドル以上をAWSインフラ拡張に投じる計画を立てており、AI対応力の強化とともに、小売とクラウド領域での支配的地位を盤石なものとした。

この施策によって、Amazonは自社生成AIチームや小売部門に対するリソース不足を未然に防ぎ、AI需要の爆発的増加に対する先手を打つ形となった。さらに、自社製AIチップ「Trainium」の生産を加速させることで、外部依存を低減しつつ競争力を高めた意図が読み取れる。他社が供給網の逼迫に苦しむ状況において、戦略的先行投資がリスク回避と長期成長に資する体制を築いた意義は極めて大きい。

株価反発と決算への市場期待が映す成長ストーリーの持続性

AMZN株は先週だけで9%以上の上昇を記録し、5月1日に予定される決算発表への市場の高い期待感を示した。過去四半期の業績においても、2024年第4四半期の希薄化後EPSが1.86ドルとアナリスト予想を22.37%上回り、継続的な収益成長が確認されている。これにより、AWS、広告、小売といった高利益率事業が強力なオペレーショナルレバレッジをもたらし、逆風下でも堅調なパフォーマンスを維持してきた。

加えて、2025年第1四半期EPSは前年同期比21.24%増の1.37ドルと予想され、通年では前年比13%以上の成長が見込まれている。これらの数値は、コスト最適化と収益構成の改善が着実に進展していることを示唆する。ただし、株価が直近の反発を受けて一時的な過熱感を帯びる可能性にも注意が必要であり、決算内容による市場の反応が今後の株価推移を左右する重要な局面を迎えると考えられる。

アナリスト評価に見るAmazonの中長期的成長期待とリスク認識

Amazonに対するアナリストのコンセンサスは極めて強気であり、52人中46人が「強い買い」を推奨、平均目標株価247.51ドルは現行水準から約32%の上昇余地を示している。この強い支持は、AI、AWS、広告事業の成長性を高く評価する姿勢に裏付けられている。フォワードPER28.8倍、PSR3倍、PEGレシオ1.29倍といったバリュエーション指標も、加速する利益成長を織り込む水準と見られている。

一方で、NASDAQ総合指数が年初来約10.3%下落する中、AMZN株も13.9%下落しており、市場全体の調整局面の影響を受けやすいリスクは依然存在する。仮にAIやクラウド分野の成長速度が市場期待を下回った場合、現在の高水準評価が逆風となる可能性も否定できない。従って、短期的な株価変動に惑わされず、中長期的な視点で成長の持続性を冷静に見極める姿勢が求められる。

Source:Barchart