生成AI企業PerplexityはMotorolaとの提携により、AI検索機能を「Moto AI」としてスマートフォンに直接統合する初の試みに踏み切った。さらにSamsungとの協議も進行中であり、モバイルAI市場への本格進出が現実味を帯びている。

これに対し、AppleはAI関連施策の遅延とSiriの刷新失敗が指摘され、社内混乱も表面化している。Bloombergの報道では、AppleのAI開発は「危機的状況」とされ、幹部の責任問題にも発展している。市場関係者の間では、Apple株に対して慎重な姿勢を取る動きも見られ、長期的な成長への不安がくすぶっている。

Perplexity AIとMotorolaの提携がもたらすスマートフォン市場への影響

Perplexity AIはMotorolaと提携し、独自のAI検索機能を「Moto AI」としてスマートフォンに統合する計画を発表した。この取り組みにより、ユーザーはMotorolaの折りたたみスマホRazrの外部ディスプレイ上でも、情報検索やレストラン予約といった実用的タスクを直接実行できるようになる。また、Motorolaに続きSamsungとの統合協議も進行しており、モバイルAI市場における影響力拡大が視野に入る。

PerplexityのCEOであるAravind Srinivas氏は、検索結果をリンクや広告に頼るのではなく、ユーザーに直接的な回答を提示する理念を強調している。この動きは、従来の検索モデルに依存していたGoogleや、AI統合が遅れているAppleにとって脅威となる可能性をはらんでいる。Perplexityが収集する新たなユーザーデータは、今後のサービス強化において競争優位を築く重要な資源となり得る。

AppleのAI開発遅延と株価低迷が示す構造的課題

AppleはAI領域において著しい遅れを取り、その影響が経営上の重大な問題として浮上している。BloombergのMark Gurman氏によれば、AppleのAIプロジェクトは「危機的状況」にあり、Tim Cook氏、Craig Federighi氏、John Giannandrea氏ら幹部が未達成の責任を問われている。特に音声アシスタントSiriの刷新遅延は、内部でも「醜くて恥ずかしい」と評され、深刻な混乱を露呈した。

2024年6月にOpenAIとの提携を発表したが、これは革新性に乏しく、業界内では後追いと捉えられている。市場ではApple株に対して慎重な姿勢が広がり、短期的なパフォーマンスへの警戒感も強まっている。長期的視点に立つと、AppleはモバイルAIの競争環境に対応するため、根本的な事業モデルの見直しを迫られる可能性がある。

モバイルAI競争激化が示唆するAppleの未来戦略への試練

Perplexity AIの積極的なモバイル進出は、Appleの戦略的柔軟性に新たな課題を投げかける。Apple Intelligenceはユーザー体験の刷新を目指したものの、現時点では期待された成果を上げていない。Motorolaや将来的なSamsungとの提携を進めるPerplexityは、単なる検索エンジンに留まらず、モバイルデバイス全体を再定義しようとしている。

これに対し、Appleはプレミアムスマートフォン市場で依然強固な地位を維持しているが、今後の技術曲線において優位性を保てる保証はない。現状では、Appleユーザーが即座に他社製品に流出する兆しは限定的であるものの、AI統合を巡る競争が続けば、ブランドロイヤルティの揺らぎも無視できない要素となる。Appleは単なる製品強化だけでなく、AIを核としたエコシステム全体の革新を急ぐ必要に迫られている。

Source:Barchart.com