ハードウェア愛好家のDaniel Simionescu(sdz)氏が、3dfxの伝説的GPU「Voodoo4」をDell Precision M4800に移植する独自プロジェクトを成功させた。VSA-100コアに64MB SDRメモリを組み合わせ、FPGAやRealTekスケーラーを統合したカスタムMXMカードによる設計が特徴である。
YouTuberのOmores氏による検証では、Windows 98ではVBEドライバーを介して動作し、Windows XP環境では「3DMark 2001」や「Need for Speed: Porsche Unleashed」が実行可能であった。なお、この設計は商業展開せずオープンソース化が予定されている。
3dfx買収25周年の節目に蘇った本プロジェクトは、1990年代後半に一世を風靡したVoodooアクセラレータへの郷愁を体現する試みとして注目される。
Voodoo4 GPU移植の技術的挑戦とその成果

Daniel Simionescu氏によるVoodoo4 GPU移植プロジェクトは、1年以上に及ぶ開発期間を経て具体化した。未発売のVoodoo4 4800を模したPCB設計では、64MBのSDRメモリとVSA-100コアを組み合わせ、FPGAやLVDS/eDPコネクタ、RealTekスケーラーを統合することで、現代ラップトップ環境との接続を可能にした。
Dell Precision M4800というHaswell世代のモバイルワークステーションに装着された本システムは、カスタム設計されたMXMカードによって初めて動作環境を得た。
一方で、Windows 98環境では、BIOSレベルでVoodoo4がプライマリGPUとして認識されない問題が発生し、VBE(VESA BIOS Extensions)ドライバーによる迂回策が取られた。
Windows XP上ではより良好な互換性が確認され、「3DMark 2001」および「Need for Speed: Porsche Unleashed」といった3Dアプリケーションが動作したことが報告されている。この成果は、過去技術と現代環境を融合させた実験的な成功例と位置付けられる。
3dfx Voodooアクセラレータ再評価とレトロ技術の意義
1990年代後半に爆発的な人気を博した3dfxのVoodooシリーズは、今日においてもノスタルジックな存在として根強い支持を受けている。特に3dfxがNvidiaに買収されてから25周年を迎えた現在、こうしたレガシーハードウェアの復元や再現は、単なる技術的遊戯を超え、過去の革新を再評価する動きとして捉えるべきである。今回のVoodoo4移植プロジェクトも、単なる個人の趣味を超えた意義を持つ。
現代のハードウェアアーキテクチャと、旧来のGPU技術とのギャップを克服するために、FPGAやスケーラーを駆使した技術力は特筆に値する。加えて、オープンソース化を目指す姿勢は、技術継承と知的資産の共有という観点からも評価に値する。レトロ技術の再興は、技術史の連続性を認識し、次世代技術革新に対する洞察を得る重要な手段となる。
Source:Tom’s Hardware