マイクロソフトは、AI機能「Recall」をCopilot+ PC向けに正式リリースした。約1年の遅延を経たこの機能は、Windows 11 バージョン24H2の非セキュリティ更新を適用することで利用可能となった。

一方、長年提供されてきたWindows Mapsアプリは2025年7月にMicrosoft Storeから削除され、完全に機能停止となることが発表された。代替手段としてウェブ版Bing Mapsの利用が案内されている。

また、Insider向けプレビュービルドからWindows 11 バージョン25H2への移行兆候も確認され、今後のアップデート戦略に変化が生じる可能性が示唆されている。

RecallがCopilot+ PC向けに正式リリース AI活用の新たな地平を切り拓く

マイクロソフトは、Windows 11 バージョン24H2の非セキュリティ更新KB5055627により、待望のAI機能「Recall」をCopilot+ PC向けに正式実装した。Recallは、ユーザーの過去の操作履歴をAIが分析し、コンテンツの再発見を容易にするものであり、情報アクセスのあり方に根本的な変革をもたらすことが期待される。

約1年の遅延を経たリリースであるが、その背景には、セキュリティ対策やユーザーインターフェースの洗練といった課題解決への取り組みがあったと推察される。特にSnapdragon搭載PC向けに最適化されたことで、低消費電力かつ高性能な運用が可能になり、モバイル領域での優位性確保が意図されたと見る向きもある。

今後Recallがどの程度ユーザーの日常的な業務効率に寄与するかは、実装初期段階のフィードバックとアップデートサイクルに依存するが、MicrosoftのAI戦略の中核を担う機能であることは疑いようがない。

Windows Maps終了とBing Mapsへの誘導 サービス移行に潜む戦略意図

マイクロソフトは、Windows Mapsアプリを2025年7月に完全終了させると発表し、代替手段としてBing Mapsのウェブ版利用を推奨した。長年親しまれてきたアプリが姿を消す背景には、ネイティブアプリケーション開発のコスト削減と、クラウド基盤サービスへの集約という大きな方針転換があると考えられる。

Bing Mapsは、すでに豊富な機能とリアルタイム情報更新能力を備えており、ウェブベースのサービスに一本化することで、機能アップデートやデータ更新の迅速化、グローバル展開の効率化が狙われている。加えて、Microsoft 365やEdgeとの連携強化を図ることで、エコシステム全体のユーザー滞留時間向上を目指す動きとも整合している。

今回の決定は、単なるアプリ終了の枠を超え、クラウド時代におけるプロダクト戦略の象徴的な転換点として位置づけられる。

Windows 11バージョン25H2への移行兆候 小規模アップデート戦略の新たな試み

Windows Insider ProgramのCanaryチャネル向けビルド27842において、Windows 11 バージョン25H2への言及が確認された。これは、2024年内のWindows大型アップデートが、従来のフルバージョン更新ではなく、小規模な有効化パッケージによる提供になる可能性を示している。

この方針転換は、企業ユーザーへの導入負担軽減や、リスク管理の観点から極めて理にかなった選択といえる。特に、セキュリティ更新や品質向上を優先しながら、機能追加を段階的に進める手法は、現代の迅速なIT環境変化に対応する上で重要な戦略と位置づけられる。

今後、25H2においてもRecallなどAI機能を中心とした強化が予想される一方で、従来型の大規模刷新を求める声とのバランスをいかに取るかが、マイクロソフトの運用巧拙を左右することになる。

Source:Neowin