マイクロソフトは2025年4月25日、Windows Insider向けにDevチャネルでWindows 11ビルド26200.5570(KB5055632)を公開した。新たに音声入力時の冒涜語フィルターをオン・オフ切り替え可能とする機能が追加され、ユーザーによる入力表現の自由度が向上した。

また、ペンデバイス向けには「Click to Do」機能が導入され、ペンボタンのカスタマイズ性が強化された。さらに、Windows検索やタスクバーのアクセシビリティ機能に関する改善、各種バグ修正も含まれており、特に法人利用者や開発者にとって注目すべき更新といえる。

音声入力における表現の自由拡張とユーザー設定の柔軟性

マイクロソフトは、Windows 11プレビュー版ビルド26200.5570(KB5055632)において、音声入力機能の冒涜語フィルターを任意で切り替えられる新機能を導入した。

この設定は、音声入力(Win + H)の設定メニューから操作可能であり、フィルターをオフにすることで、これまでアスタリスクで置き換えられていた表現もそのまま表示される仕様となった。これにより、ユーザー自身が用途やコンテキストに応じて入力結果をコントロールできる環境が整えられた。

この変更は、主に創作活動や議論用途における表現の多様性を尊重するものであり、業務用途においてもより柔軟な入力作業を可能にする。ただし、公的な場面や企業内での利用時には、フィルターオフによる不適切表現のリスク管理が求められる局面も予想される。現時点ではDevチャネル限定の機能であり、今後の正式版展開にあたっては、企業向けガイドラインの整備も重要な課題となる。

「Click to Do」導入によるインターフェース革新と業務効率化への期待

Windows 11ビルド26200.5570では、ペンデバイス向けに「Click to Do」機能が新たにプレビュー提供され、ショートカットボタンにさまざまなアクションを割り当てる柔軟性が実現した。

設定は「Bluetoothとデバイス」内の「ペンとWindows Ink」から行え、シングルクリック、ダブルクリック、長押しといった多様な操作に対応する仕様である。さらに、ペンメニューのアプリ起動枠においても、Click to Doを追加設定できるようになった。

この改良は、特にデジタルドキュメント作成や設計業務に従事する利用者層にとって、操作効率と作業没入感を大幅に高める可能性がある。スタイラスデバイスの活用領域が広がる中、ボタンカスタマイズ機能の拡充は、生産性向上に直結する技術革新と位置づけられる。他方で、複雑な設定がユーザー負荷となる懸念も残り、UI/UXデザインのさらなる洗練が求められる段階にある。

法人市場への波及を見据えたWindows検索改善とシステム安定性向上施策

今回のビルドでは、Windows検索機能にも改良が施され、Entra IDを用いたOneDriveクラウドファイル検索において、写真を除外しテキスト一致に特化する仕様が導入された。

この仕様は、DevチャネルおよびBetaチャネルのCopilot+ PC向けに展開され、業務データ検索における効率性を高める設計となっている。また、タスクバー内アクセシビリティ設定の整理や、Windows回復環境(WinRE)に関する重大な不具合修正も盛り込まれた。

これらの改善施策は、特にエンタープライズ環境において、データアクセスの迅速化とシステム運用の信頼性確保に寄与する意図が明確である。検索対象の絞り込みによるパフォーマンス最適化と、リカバリプロセスの安定性強化は、日常運用コスト低減にも直結する施策と捉えられる。ただし、適用範囲が現時点で限られていることから、一般リリース時には更なる互換性検証が求められる局面にある。

Source:Neowin