NVIDIA(NASDAQ: NVDA)の株価は、年初から28%下落した。AI需要の拡大に支えられ、過去5年間では1,370%という驚異的な成長を遂げたが、現在のPERは36倍と割安感は限定的である。一方、米中対立やAI技術の進化によるリスクも指摘され、過剰な楽観が株価に織り込まれている可能性がある。
このため、長期的には成長余地があるものの、今の水準での投資には慎重な見極めが求められる。特にAI市場の拡大ペースや技術革新の動向次第で、NVIDIAがバリュートラップに陥るリスクも否定できない。
NVIDIA株、急落も長期視点では成長余地あり

2024年以降、NVIDIA(NASDAQ: NVDA)の株価は年初来で28%下落したが、過去5年間の1,370%の急成長を背景に、依然として強いブランド力と技術的優位性を保持している。特に、AIチップ市場においては、初期投資の拡大が今後も続く可能性が指摘されており、これが業績をさらに押し上げる潜在力を秘める。現在のPERは36倍と、歴史的な水準と比較すれば割高感が後退しているものの、決して「割安」とは言い切れない。
一方で、NVIDIAは自社開発の独自技術と広範な顧客基盤を武器に、AIインフラの中核を担う存在となっている。この地位を維持できれば、たとえ一時的な調整局面があっても、長期保有によるリターンの可能性は十分に残されている。ただし、今後のAI投資が想定通り拡大し続ける保証はなく、短期的な株価変動に対しては慎重なスタンスが求められる。
成長リスクとしての米中摩擦と技術革新の行方
NVIDIAの成長ストーリーには、リスク要因も存在する。特に米中間の貿易摩擦は、NVIDIAのように両国にビジネス基盤を持つ企業にとって大きな懸念材料となっている。規制強化や輸出制限が強まれば、売上や利益に直撃するリスクは無視できない。また、AI分野ではDeepseek AIのような「軽量化技術」が登場しており、従来型の高性能GPUへの需要が縮小する可能性も取り沙汰されている。
これに加え、現在のAI特需が「第一波」にとどまらず、持続的な需要に繋がるかどうかも不透明である。AI市場の成長が期待外れに終われば、現在の2.6兆ドルという高水準の時価総額も大きなリスク要因となり得る。従って、NVIDIA株を検討する際は、短期的な下落や需給変動に加え、技術進化のスピードと地政学リスクの両方に目を向ける必要がある。
Source:msn