パランティア・テクノロジーズ(PLTR)が4月に22%超の上昇を遂げる中、UBSは同社株に対して中立評価と105ドルの弱気な目標株価を維持した。政府支出の削減リスクが成長を阻害する可能性を指摘しており、特に米政府契約への依存度が高い点が懸念材料とされる。

一方で、イーロン・マスク率いるSpaceXとの連携や移民税関捜査局(ICE)向け3000万ドル契約といった新たな追い風も存在し、今後の展開には注目が集まる。パランティアは5月5日に2025年第1四半期決算を発表予定で、アナリストは前年同期比100%増となる1株当たり0.08ドルの利益を予測している。

好調な株価推移にもかかわらず、ウォール街では持続的成長に対する慎重な見方が根強く、短期的には政府支出削減の影響を見極める局面が続くと見られる。

パランティアに対するUBSの慎重な評価と政府支出リスクの警鐘

パランティア・テクノロジーズ(PLTR)が4月に22%超の上昇を見せたにもかかわらず、UBSは同社株に対して中立評価と105ドルの弱気目標株価を堅持している。UBSアナリストは、パランティアの収益構造において政府契約が全体の55%を占め、さらにその75%が米国政府に依存している点を重大なリスクと指摘した。特に、イーロン・マスク率いる「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」による連邦予算削減が、パランティアの短期的な収益を圧迫する可能性が高いとされる。

こうした状況下で、UBSは2025年のパランティアの売上成長率予測を従来比2ポイント下方修正し、31%とした。この調整はパランティア自身が示したガイダンスに沿うものであり、企業側も市場環境の厳しさを認識していることが窺える。短期的には、政府支出の減少リスクが、好調な株価推移に水を差す可能性が高いと見るべき局面に入っている。

ICEとの契約締結とSpaceX連携期待がもたらす新たな成長機会

パランティアは移民税関捜査局(ICE)向けに3000万ドル規模の追跡ソフトウェア開発契約を締結し、政府機関向け事業のさらなる拡大を図っている。この契約は一部のテック業界関係者から批判を受けたものの、政府依存度の高さを逆手に取り、安定した収益源の確保に動く戦略といえる。また、イーロン・マスクのSpaceXと共同でトランプ政権下の「ゴールデンドーム・ミサイル防衛計画」に関与する可能性も報じられており、これが実現すればパランティアにとって大きな成長ドライバーとなる見通しだ。

ただし、これらの契約は確定事項ではなく、仮に進展しても短期的な収益貢献に直結するかは不透明である。現時点では期待先行の面が強く、確固たる成長基盤とするには時間を要するだろう。依然として政府支出の減少リスクが重くのしかかる中、こうした個別契約に依存した成長シナリオには慎重な目線が求められる。

5月5日の決算発表がカギ パランティア株の次なる方向性

パランティアは5月5日に2025年第1四半期決算を発表予定であり、アナリスト予想では前年同期比100%増の1株当たり0.08ドルの利益が見込まれている。仮に市場予想を上回る結果となれば、短期的な株価上昇につながる可能性は十分にある。しかし、決算説明会では、単なる好業績以上に、今後の政府案件の受注状況や、連邦予算削減への対策について具体的な説明が求められるだろう。

投資家が注視すべきは、収益成長の質と持続性である。AI分野におけるパランティアの技術優位性は確かだが、収益源の多様化が進まなければ、現行の高い株価評価は持続困難となるリスクをはらむ。今回の決算発表は、パランティアの真の実力と、政府依存度を克服するための戦略の有無を見極める重要な試金石となる。

Source:msn