Google Pixelシリーズは、自然な色再現と優れた画像処理で高く評価されてきたが、Pixel 10では新たな進化として撮影時に使えるカメラフィルターの導入が求められている。AppleやSamsungが既に撮影前のスタイル設定を可能にしている中、Pixelは依然として後処理中心である点が指摘されている。
特に曇天など色彩が乏しいシーンでは、リアルタイムで写真を魅力的に仕上げる機能の不在が課題とされ、他社と比較してPixel体験の幅を広げる施策が急務となっている。
Pixelシリーズに求められる即時フィルター機能の重要性

Google Pixelシリーズは、自然なカラープロファイルと高度な画像処理によって定評を得てきたが、撮影時に色やトーンを調整できるカメラフィルター機能が依然として不足している。特にPixel 9a使用時に曇天のボルチモアで撮影した際、空や街並みが灰色がかり、自然でありながらも視覚的な魅力に欠ける写真が撮れた例が挙げられる。これに対して、メキシコでの晴天時には同じデバイスでも鮮やかな写真が容易に得られたことから、天候によって仕上がりの印象が大きく左右される現状が浮き彫りになった。
AppleのフォトグラフィックスタイルやSamsungのカスタムフィルター機能は、撮影段階で写真に個性を持たせることが可能となっており、撮影後の編集作業を大幅に軽減している。さらにNothingのLUT機能のように、特定のシーン向けにプリセットを選べる手法も登場している中、Pixelシリーズのみがこの流れに追随できていない状況である。現段階ではGoogleフォト内に編集用フィルターは存在するが、撮影前にスタイルを選べないため、撮った瞬間のクリエイティブな自由度が制限されている点は見過ごせない。
Pixel 10がこれまでの路線を維持するだけでなく、リアルタイムでのフィルター選択を可能にすれば、曇天や低光量下での撮影体験を大きく変えることができるはずである。他社が示しているトレンドを踏まえ、GoogleもPixel体験にさらなる柔軟性を持たせることが期待される。
撮影後編集では埋められないPixelカメラ体験のギャップ
Pixelシリーズには確かにGoogleフォト内に編集用フィルターが用意されているが、撮影時にリアルタイムでフィルターを適用できる仕組みとは異なっている。この違いが生み出すギャップは無視できない。撮影後に「Honey」「Clay」「Alpaca」などのフィルターを適用するには、一度Googleフォトを開き、さらに編集メニューを操作する手間がかかるため、シャッターチャンスを逃さずに仕上がりを決めたい場面では不便が生じる。
一方でAppleやSamsungでは、撮影前に色調やスタイルを選択できるため、シャッターを切った時点で完成された写真が得られる。特に、Samsungのシステムでは好きな写真をアップロードしてオリジナルフィルターを生成できる柔軟性も備えているため、個人の好みに合わせた撮影がより簡単になっている。この差は、Pixel 9aを利用して撮影後にLightroom Mobileへ移行し、既存のプリセットを使うほうが効率的であると感じる要因となっている。
現状のPixelカメラ体験は「自然な再現」において他の追随を許さないが、意図的にスタイルを加えたい撮影シーンでは手間と工数がかかるため、クリエイティブな撮影を志向する層にとって物足りなさが残る。Pixel 10では、このギャップを埋めるためにも、撮影前のフィルター選択機能を標準搭載する流れが求められるだろう。
Source:Android Authority