Netflixは、DVDレンタルとストリーミングの両分野で革新をもたらし、サブスクリプションモデルにより景気後退にも耐えうる堅固な収益基盤を築いた。リーマンショック時にも売上が減少しなかった実績があり、次の不況にも大きな打撃は受けにくいと考えられる。
一方で、現在の株価はP/S、P/E、P/Bいずれも過去5年平均を上回り、過去最高値水準に近づいている。リセッション耐性のあるビジネスとは裏腹に、株価は割高感が強く、慎重な投資判断が求められる局面である。The Motley Foolの最新推奨銘柄にもNetflixは含まれておらず、今後の投資妙味を見極めるには慎重な姿勢が不可欠となる。
サブスクリプションモデルがもたらす景気後退耐性の強さ
NetflixはDVDレンタルからストリーミングへの変革を主導し、サブスクリプションモデルによる安定収益を確立した。この月額制サービスは、消費者にとって映画館より安価で、かつ複数デバイス対応という利便性を持つことから、景気後退局面でも支出を削減する対象になりにくい。リーマンショック時にも売上が減少しなかった実績は、ビジネスモデルの堅牢性を証明している。コロナ禍でも順調に成長を遂げた事実は、今後想定される不況下でも同様に高い耐性を発揮する可能性を示唆している。
一方で、当時とは市場環境もNetflix自身の企業ステージも異なる点に留意する必要がある。成熟企業となった現在、消費者支出全体の縮小がサブスクリプション継続率に微妙な影響を及ぼす可能性も否定できない。よって過去の成功体験をそのまま未来に適用するのではなく、サービス競合や価格改定リスクなど複合要因を冷静に見極める姿勢が求められる。
株価バリュエーションに潜む過熱感と注意すべきポイント

2025年第1四半期におけるNetflixの売上はガイダンスを上回ったが、通期見通しの上方修正は見送られた。この慎重姿勢は、現経営陣が後半の経済失速リスクを織り込んでいることを示している。株価指標に目を向ければ、P/S、P/E、P/Bいずれも過去5年平均を超過し、過去最高値圏で推移している。バリュー投資の大家ベンジャミン・グレアムの格言に倣えば、優れたビジネスでも過大な価格を支払えばリスクとなり得る。
現状のNetflix株は、ストリーミング市場における優位性と景気後退耐性に対し高いプレミアムが織り込まれている。つまり、ビジネスの安定性と株式の投資妙味は必ずしも一致しない。過去の成長実績を重視する一方、足元の高評価リスクに冷静な注意を払う必要があり、今後の株価推移は慎重に見守るべき局面である。
投資家が取るべき戦略的スタンスとは
The Motley FoolのStock Advisorが現在推奨する「買い銘柄10選」にNetflixが含まれていない事実は、慎重な投資判断を促す材料となる。Netflixは依然として堅実なキャッシュフローとブランド力を持つが、過去のリターンに依存した楽観的な見方は危うい。コロナ禍やリーマンショックの事例が示す通り、堅調なビジネスと高い株式リターンが必ずしも連動しないことは歴史が証明している。
今後のリセッション局面では、Netflix自体が悪影響を受けにくいとしても、市場全体のセンチメント悪化により株価調整を受けるリスクは無視できない。長期視点で堅実な資産運用を志向するのであれば、現在の高水準株価を受け入れるか、より魅力的なエントリーポイントを待つか、慎重な判断が求められる。焦らず冷静に機会を見極める構えが重要である。
Source:The Motley Fool