米国市場は今週、S&P500構成企業の約3分の1が決算発表を予定しており、特にアップル、マイクロソフト、メタ、アマゾンといった巨大企業の動向が注目される。加えて、GDP速報値やPCE物価指数、雇用統計など重要経済指標の発表も続き、金融市場に大きな影響を与える見通しである。
また、5月6日からのFOMCを控え、金利政策を巡る思惑や、米中貿易摩擦に関連するニュースも市場心理を左右する要素となるため、投資家の警戒感は一段と高まるだろう。
S&P500企業の約3分の1が決算発表 巨大テック企業に市場の視線が集中

今週、米国株式市場ではS&P500構成企業の約3分の1にあたる企業が第一四半期決算を発表する。中でもアップル、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コムの報告が注目され、これら「マグニフィセント・セブン」の動向が相場全体のセンチメントに直結する状況だ。決算発表はドミノ・ピザやコカ・コーラ、ビザに始まり、後半にはエネルギー大手のシェブロン、エクソン・モービルが登場する。各社の業績動向が経済回復期待を裏付けるか、あるいは逆に懸念を強めるか、投資家心理を大きく左右する局面にある。
一方で、これら巨大企業の業績について過度な楽観視は禁物である。インフレ高止まりや消費鈍化リスクは依然として根強く、決算の中身次第では、これまでの株高基調に揺らぎが生じる可能性がある。とりわけハイテク主導の上昇局面であるだけに、ひとたび失望売りが加速すれば、相場全体を巻き込む下振れリスクも無視できない。
経済指標ラッシュ GDP速報値と雇用統計が市場に与える衝撃
企業決算と並行して、今週は重要な経済指標の発表も相次ぐ。まず、米商務省経済分析局(BEA)が水曜日に発表する第1四半期GDP速報値は、市場コンセンサスで年率0.4%成長と予想されており、前期から大きく減速する見通しとなっている。また同日に発表される個人消費支出(PCE)物価指数、特に連邦準備制度理事会(FRB)が重視するコアPCEの動向にも関心が集まる。
金曜日には米労働省労働統計局(BLS)による4月の雇用統計が控えており、非農業部門雇用者数の増加幅は13万3000人と予測されるが、2月の22万8000人増から減速が見込まれている。これらのデータが実際に弱含む場合、米国経済の減速感が一段と鮮明となり、FRBの金融政策スタンスにも影響を与えかねない。
ただし、成長鈍化の兆しが鮮明になった場合、利上げ継続観測が後退し、逆に株式市場には一定の下支え要因となる可能性も考慮すべきである。市場は複雑な反応を見せる局面に入りつつある。
FOMCと貿易摩擦リスク 市場の不安材料が交錯する構図
さらに、市場は来週に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)に対しても神経を尖らせている。現在の市場予想では、政策金利は据え置かれる見通しであるが、声明やパウエル議長の会見内容次第では金融引き締め長期化懸念が再燃する余地がある。特に、PCEコア指数が予想を上回った場合、再利上げの可能性が議論されるリスクも無視できない。
加えて、米中間の貿易摩擦を巡る動きも要警戒である。トランプ政権時代に端を発した関税問題について、新たな報道が出れば、企業業績や経済指標の結果をかき消す形で市場のリスク回避姿勢が強まる局面も想定される。こうした複数の懸念材料が同時進行する中で、相場の変動性は一段と高まると見られる。
市場参加者にとっては、短期的な指標結果や決算に一喜一憂するよりも、総合的な流れを冷静に見極める姿勢が求められる局面となる。
Source:msn