Appleは、iPhone、iPad、Macから生成したリンクを通じて、AndroidスマートフォンやWindows PCユーザーがFaceTime通話に参加できる新機能を導入した。この仕組みは2021年から開始され、専用アプリ不要でウェブブラウザ経由での参加を可能にした。ただし、通話を開始できるのはAppleデバイス利用者に限られており、AndroidやPCユーザーはあくまで招待を受けた上での参加に留まる。

なお、2024年6月のWWDCではiOS 18におけるRCSサポートも発表され、Appleが外部プラットフォームとの連携を段階的に拡大しつつある流れが確認された。

AndroidとPCからFaceTime通話に参加可能 Appleが進めたエコシステム拡張の一手

Appleは2021年に、AndroidスマートフォンおよびWindows PCユーザーがFaceTime通話に参加できる仕組みを導入した。iPhoneやiPad、Macから生成されたリンクを通じ、ウェブブラウザ上でFaceTime通話に接続できるようになったことで、Apple独自の通信手段がわずかに外部へ開かれた形となる。ただし、通話を開始できるのはApple端末の利用者に限られており、AndroidおよびPC側から発信することは不可能である。この仕組みは専用アプリのインストール不要で動作し、ブラウザは最新のChromeまたはEdgeが推奨されている。

Appleがこうした変更を加えた背景には、囲い込み戦略を維持しつつも利便性の向上を求めるユーザーの声に応える必要性があったと考えられる。ただし、通話発信の主導権をApple側に留める設計は、依然として自社プラットフォームへの忠誠を促す意図を反映しているように映る。完全なクロスプラットフォーム対応には慎重な姿勢を崩しておらず、あくまでも自社製品の優位性を保ちつつ部分的な開放を進めるスタイルが見て取れる。

iOS 18でRCSサポートを導入 メッセージ体験におけるAppleの変化と限界

2024年6月に開催された世界開発者会議(WWDC)で、AppleはiOS 18においてリッチコミュニケーションサービス(RCS)をサポートすることを発表した。RCSはAndroidスマートフォンで広く使用されるテキストメッセージング規格であり、これによりiPhoneとAndroid間のメッセージング体験は一部向上すると見られる。しかし、青と緑の吹き出しという区別は依然として維持され、iMessageの優位性を象徴する要素は残された。この発表は、Appleが外部との通信の利便性を一定程度重視し始めた兆しではあるものの、プラットフォーム間の完全な統一には至っていない。

AppleがRCSを受け入れた理由は、グローバル市場でのユーザー体験改善と規制圧力への対応が背景にあるとみられる。ただし、iMessage独自の価値を維持し続ける姿勢も明確であり、結果として「異なるが互換性を持つ」という微妙なバランスを保とうとしているようだ。ユーザーにとっては通信の柔軟性が広がる一方で、Apple製品間の一体感というブランド体験は今後も変わらず重視され続けるだろう。

Source:CNET