Huaweiは新型フリップフォン「Pura X」で、従来の常識を覆すアプローチを打ち出した。タブレットに近い16対10のアスペクト比を採用し、コンパクトなサイズながら大型ディスプレイ体験を実現している。対するMotorolaの「Razr Ultra 2025」は、極めて高性能なカバーディスプレイとAIキー搭載で、小型スマホ的な使い勝手を極めた存在だ。
両機種はデザイン、ディスプレイ比率、カメラ構成、ソフトウェア体験において明確に異なる道を選択しており、フリップフォンの理想形をめぐる議論を加速させている。特にPura Xはクアッドカメラを搭載し、より幅広い撮影ニーズに応える設計となっている点が注目される。
Huawei Pura Xが示すタブレットアスペクト比の新たな可能性

Huawei Pura Xは、6.3インチのメインディスプレイに16対10のアスペクト比を採用し、従来のフリップフォンとは一線を画する体験を提供している。一般的なスマートフォンが19対9、フリップ型であれば22対9の縦長比率が主流である中、タブレットライクな比率を持つPura Xは、ブラウジングやコンテンツ消費に特化した新しい方向性を打ち出した。この比率は、タブレット端末で広く用いられてきたものであり、閲覧体験の快適さや作業効率の高さで評価されてきた実績がある。
さらに、Pura Xはカバーディスプレイとカメラモジュールを分離する設計を採用し、クアッドカメラ搭載を実現した。これにより、コンパクトなボディながら多様な撮影ニーズに応える性能を備えている点も特筆すべきである。カメラとディスプレイの配置を分けたことで、フリップフォン特有の制約から解放された設計が可能になった。
この新たな試みは、折りたたみ型スマホの用途を「小型スマホ化」から「ポケットに収まるタブレット体験」へと広げる可能性を示唆している。従来の延長線上にない設計思想が、今後のフリップフォン市場に与える影響は無視できないだろう。
Razr Ultra 2025が突き詰めたカバーディスプレイの完成度
Motorola Razr Ultra 2025は、フリップフォンのフロントスクリーン体験を徹底的に磨き上げたモデルである。4インチのカバーディスプレイはゴリラガラスセラミックで保護され、165HzのリフレッシュレートとHDR10+、Dolby Visionに対応するなど、タフネスと表示性能を両立している。最大輝度も3,000ニトに達し、日中の屋外使用にも十分耐え得る仕様となっている点が大きな特徴だ。
加えて、Google Geminiを瞬時に起動できる「AIキー」を搭載したことで、カバーディスプレイの活用範囲は飛躍的に広がった。これまでのフリップフォンではサブディスプレイにとどまっていた役割を、メインディスプレイに匹敵する実用領域へと押し上げた功績は大きい。さらに、カバーディスプレイ向けに専用最適化されたゲーム体験も用意され、エンターテインメント用途にも強みを発揮している。
フリップフォンを単なる折りたたみ式小型スマホではなく、常用可能なメインデバイスと位置づけるための進化を遂げたRazr Ultra 2025は、フリップ市場の成熟を感じさせる存在である。その一方で、フロントスクリーン偏重の設計が長期的にどのような評価を受けるかは、引き続き注視が必要となる。
フリップフォンの未来を示唆するHuaweiとMotorolaの異なる挑戦
Huawei Pura XとMotorola Razr Ultra 2025は、それぞれ全く異なる方向性でフリップフォンの可能性を広げた点が注目に値する。Pura Xはタブレットアスペクト比による閲覧重視の体験とクアッドカメラ搭載を、Razr Ultra 2025は小型スマホの理想形を追求することで、異なるニーズに応えるアプローチを選んだ。両者の試みは、今後の折りたたみ市場に多様性をもたらす起爆剤となる可能性がある。
特にPura Xのような異端の存在は、単なるトレンド追随ではない独創的な方向性がユーザーに支持されるかどうかを占う試金石となる。一方、Razr Ultra 2025のアプローチは、すでに完成された小型スマホ体験の延長線上にあり、即時的な安心感と完成度の高さが魅力だ。両者が提示した選択肢は、今後、フリップフォンが単なる「開閉ギミック」の魅力だけでなく、明確な使用目的を持つデバイスへと進化する可能性を示している。
どちらの方向性が主流となるかは現時点で断定できないが、HuaweiとMotorolaの対照的なアプローチが今後のスマートフォン市場の進化をより刺激的なものにしていくことは間違いない。
Source:Digital Trends