Linuxカーネル開発者であるIngo Molnarは、486世代および一部586世代の古いx86プロセッサのサポート廃止を提案した。対象はTSCレジスタを持たず、CMPXCHG8B命令に対応しないCPUであり、Intel初代Pentium以前のモデルが中心となる。

Molnarは、互換性維持による複雑性とテスト作業の負担増を指摘し、削除対象となるコードは14,000行超に及ぶ可能性があると試算している。これによりLinuxカーネルの効率向上とエラー低減が期待されるが、古いハードウェア利用者への影響にも留意が必要となる。

Linuxカーネルから486世代CPUのサポート撤廃へ 複雑性解消と効率化を目指す動き

Linuxカーネル開発者Ingo Molnarは、486世代および一部586世代の古いx86プロセッサのサポート終了を提案している。対象となるのは、タイムスタンプカウンタ(TSC)を搭載せず、CMPXCHG8B命令に対応しないCPU群であり、具体的にはIntel初代Pentium以前のモデルが中心となる。この動きは、互換性維持のために存在するカーネル内のエミュレーションコードを削減し、14,000行以上の削除を実現する可能性が指摘されている。

Molnarは、カーネルに存在する30年以上前のハードウェア向けコードが、現代の64ビットプロセッサに不要な複雑性をもたらしていると主張する。この変更により、開発・テスト工数の大幅な削減が期待される一方で、旧世代ハードウェアを依然利用している一部の用途に対しては代替手段の確保が課題となる。

互換性維持コストの限界とLinuxカーネル刷新に向けた必然性

Linuxカーネルにおける古いCPUサポートは、過去の技術的遺産との互換性を守るための「負債」と化している。Ingo Molnarの指摘によれば、特にmath-emuライブラリに関連する部分が負担となっており、これにより最新のプロセッサ向け最適化が遅延するリスクが存在している。カーネルのコードベースを刷新し、不要なエミュレーションコードを整理することは、今後の64ビットアーキテクチャに最適化された開発を加速させるためにも不可欠とされる。

ただし、歴史的プロセッサを対象とした環境では、旧バージョンカーネルを活用する必要性が高まるため、Linuxの多様性を支える観点からも慎重な移行戦略が求められる。この動きは、Linuxが長年抱えてきたレガシー資産との向き合い方に一石を投じることになる。

Source:heise online