Asusは、ROG Astral RTX 5000シリーズGPU向けに、ジャイロスコープと加速度計を活用してたわみを検知する「Equipment Installation Check」機能をGPU Tweak IIIに搭載していた。ユーザーに位置ずれを警告するこの仕組みは、GPU損傷リスクを軽減する新たな対策として注目されたが、最新ソフトウェアでは削除されたと報告されている。高性能化と大型化が進むサードパーティGPU市場において、こうした機能の重要性は一層高まると考えられる。
AsusのGPUたわみ検知機能、内蔵センサーによる革新的手法とその削除の経緯

Asusは、ROG Astral RTX 5000シリーズ向けGPU Tweak IIIにおいて、内蔵されたジャイロスコープと加速度計を活用する「Equipment Installation Check」機能を導入した。これはGPUが物理的にたわみ、位置ずれを起こした際にユーザーへ警告を発する仕組みであり、GPU損傷リスクを未然に防ぐ画期的な試みであった。
しかし、この機能はAsusの公式マーケティング資料では一切触れられておらず、ユーザーによる発見という形で存在が明らかになった。その後、Asusフォーラムの情報によれば、最新バージョンのGPU Tweak IIIでは同機能が削除されたとされるが、削除の理由や意図については公式な説明がなされていない。
たわみ検知機能の削除は、高性能GPUに対する利用者の安全意識を高める重要な契機となりうる。GPUの大型化と重量化が進む現在、この種の物理センサーによるモニタリング機能は、単なる付加価値にとどまらず、標準機能とすべき段階に来ているとみるべきである。Asusがこの技術を一時的に後退させたことは、競合他社にとって技術革新への新たな参入機会ともなりうるであろう。
サードパーティ製ハイエンドGPUの大型化が引き起こす構造リスクとその対策
サードパーティ製のハイエンドGPU市場では、冷却性能向上を目的に設計が大型化しており、重量も増加傾向にある。RTX 4090を筆頭とする最新世代のGPUは、PCIeスロットへの物理的負担を無視できないレベルに達しており、長期間の使用によってスロット破損や基板の損傷リスクが現実化している。
特に12VHPWRケーブルや垂直マウントを採用しない場合、この問題は深刻さを増す。こうした背景のもと、Asusが試みたGPUたわみ検知機能は、潜在リスクへの早期対応策として極めて合理的な提案であった。
一方で、GPUのたわみによる物理損傷は、すべてのユーザーにとって切迫した問題とは限らない。ミニITXビルドや専用スタンドを使用する環境では影響が限定的であり、また、たわみが著しいのは主に高冷却設計を重視した一部の大型GPUに集中している。しかし、PCパーツの堅牢性と長寿命化を求めるならば、たわみ対策は今後の標準仕様として普及すべき領域に入りつつあると考えるべきである。
Source: TechRadar