レノボは、最新のCore Ultra 9 285プロセッサとGeForce RTX 5060 Ti 16GB GPUを搭載したミニPC「ThinkCentre neo Ultra 2025」を正式発表した。新モデルは3.6リットルのコンパクトサイズながら、LGA-1851ソケット対応によりデスクトップクラスの性能を実現する。さらに、専用NPUカードを備え、最大140億パラメータの大規模言語モデル(LLM)にも対応可能としており、AI処理にも重点を置いた設計が特徴となる。

最新世代の小型PCに込めたレノボの設計思想

レノボが発表したThinkCentre neo Ultra 2025は、コンパクトな3.6リットル筐体に最新のCore Ultra 9 285プロセッサとGeForce RTX 5060 Ti 16GB GPUを搭載し、従来の小型PCの常識を覆す仕様を備えている。特に、LGA-1851ソケットへの移行は、デスクトップクラスの処理能力を保持しつつ、システム全体の小型化を実現する重要な要素である。

また、300W電源ユニットの採用により、前世代の350Wモデルに比べ、消費電力効率の最適化が図られている点も注目に値する。さらに、本モデルでは専用のNPUカードが搭載され、大規模言語モデル(LLM)のローカル処理が可能となり、最大140億パラメータ規模の学習モデルに対応している。これにより、エッジAIや小規模な研究用途においても、クラウド依存を低減する選択肢を提供する形となる。

この設計方針は、今後のビジネスデバイス市場におけるニーズを先取りしている可能性がある。特に、AI推論処理のローカル化や、オフィス環境における消費電力と性能のバランス重視といった流れに対し、極めて現実的な解を提示していると言える。ただし、筐体サイズによる冷却性能への影響や、RTX 5060 Ti 180W版の発熱管理については、実運用における慎重な検証が不可欠となる。

RTX 5060 Ti 16GB搭載による性能と市場戦略への影響

ThinkCentre neo Ultra 2025に採用されたGeForce RTX 5060 Ti 16GB GPUは、180Wの消費電力を持ちながらも、完全なデスクトップ向け仕様を維持している。この選択により、単なるビジネス用途を超えた高度なグラフィックス処理やAI演算への対応力が強化されている点は見逃せない。加えて、32GBメモリと1TBストレージを標準搭載することで、オフィス用途だけでなく、軽量な開発環境やクリエイティブワークにおいても十分な性能を発揮する構成となっている。

価格設定はCore Ultra 5+RTX 5060モデルで14,999人民元(約32万円)、Core Ultra 7+RTX 5060 Tiモデルで19,999人民元(約43万円)と発表されており、性能に対するコストバランスを意識したものとなっている。ただし、Core Ultra 9+RTX 5060 Ti搭載モデルの価格は未定であり、ハイエンド構成においてどの程度競争力を発揮できるかは不透明である。これにより、特に欧米市場における価格競争や、同セグメント内の競合モデルとのポジショニングに影響を及ぼす可能性が指摘される。

Source:VideoCardz.com