AMDは、中国市場向けに新たなグラフィックスカード「Radeon RX 9070 GRE」の公式性能データを発表した。30以上のゲームを対象とした検証により、同カードは従来モデルであるRX 7900 GRE比で平均6%の性能向上を記録し、事前リーク予想を上回る結果を示した。
しかし希望小売価格(SEP)は4439人民元(約535ドル)と、競合するGeForce RTX 5060 Ti 16GBへの価格競争力が懸念される設定となった。AMDによる性能向上の強調は市場投入戦略の一環と見られるが、価格の高さが海外市場展開時の障害となる可能性がある。
AMDが公開した9070 GREの公式データに見る性能向上の実態

AMDは、中国市場向けにRadeon RX 9070 GREの公式性能データを発表した。30以上のゲームタイトルにおける実測結果に基づき、RX 7900 GRE比で平均6%の性能向上を達成していることが明らかとなった。対象タイトルには「F1 24」や「ドラゴンエイジ:ガーディアンズ・オブ・ザ・ヴェイル」など最新作も含まれ、幅広いジャンルにおける検証が行われた点が注目に値する。
また、先行してリークされていた仕様予想に対しても、実際のデータは上回る結果を示した。特に、3DMark Steel Nomadによるラスタライズ性能試算ではRTX 5060 Ti 16GBに対して34%優位との推測があったが、それ以上に7900 GREとの比較で明確なアドバンテージを得た点は見逃せない。AMDによる段階的な性能調整が功を奏したとみるべきだろう。
一方で、今回のデータが中国市場に限定されたものであり、グローバル市場向けの最適化やチューニングがどのように行われるかは依然不透明である。地域別に異なるゲーミング環境や消費者ニーズを考慮した場合、同様の優位性が各市場でも再現されるかは今後の検証が待たれる。
高価格設定が9070 GREの競争力に与える潜在的影響
AMDは9070 GREの希望小売価格(SEP)を4439人民元、米ドル換算で約535ドルに設定した。これは、競合製品であるNvidiaのGeForce RTX 5060 Ti 16GBに対して価格面での優位性を持たないどころか、むしろ競争力を削ぐ懸念を生じさせている。特に、以前想定されていた449ドル前後の価格帯から大幅に逸脱した点は、市場戦略上のリスクと受け止められる。
本来、9070 GREはRTX 5060 Ti 16GBに対し、性能面では十分なアドバンテージを持つと期待されていた。しかし、価格差が小さい、もしくは逆転する状況においては、消費者の選好は必ずしも性能だけに依存しない。コストパフォーマンスを重視する市場セグメントでは、割高感が購買意欲を削ぐ要因となる可能性が高い。
さらに、RX 9070と同等価格でありながら、AMD自身が9070 GREのほうが低速であることを認めている点も無視できない。これが仮に北米市場などにも展開された場合、500ドルを超える価格設定では普及が難航するおそれがある。グローバル市場に向けて価格調整が行われるかどうかが、今後の成否を左右する分水嶺となるだろう。
Source:Neowin