2025年、AppleやMicrosoftなど「マグニフィセントセブン」と称される主要企業群が軒並みS&P500をアンダーパフォームしている。こうした中、成長株偏重を避けつつ安定収益を目指す手段として注目されるのがバンガード・ハイ・ディビデンド・イールドETF(VYM)である。

VYMは金融、エネルギー、ヘルスケア、消費財といったバリュー重視セクターに分散投資し、配当利回りは2.9%、信託報酬はわずか0.06%にとどまる。マグニフィセントセブンの過剰保有リスクを避けながら、堅実なキャッシュフローを求める投資家にとって有力な選択肢となる可能性がある。

マグニフィセントセブンの失速と市場支配の実態

Apple、Microsoft、Nvidia、Amazon、Alphabet、Meta Platforms、Teslaから成る「マグニフィセントセブン」は、2023年から2024年にかけてS&P500やナスダック総合指数を大きく押し上げた。しかし、2025年に入り、7社すべてがS&P500を下回る成績となっている。特にMicrosoftですら年初来8.1%下落、Teslaに至っては決算発表後の反発を含めても35%以上の大幅な下落を記録した。

この失速は、これら巨大テック株の過剰な時価総額集中に起因しており、たとえばバンガードS&P500ETFにおいては約30%、インベスコQQQトラストでは約40%を占めるに至った。市場全体のパフォーマンスが特定の少数銘柄に依存するリスクが明確化したことが、2025年の相場動向に重くのしかかっている。

一方で、これら企業の競争優位性や堅固な財務基盤は依然として健在であり、下落局面を長期投資家にとっての好機と見る向きも存在する。ただし、マグニフィセントセブンへの過剰依存がもたらす市場リスクを考慮すれば、分散投資によるリスク軽減策を模索する動きが加速する可能性が高い。現状は、テクノロジーセクターに対する市場の過信が試される局面にあるといえよう。

バンガードハイディビデンドイールドETFが提供する分散と高配当の妙味

バンガード・ハイ・ディビデンド・イールドETF(VYM)は、マグニフィセントセブンを含まない低コストETFとして注目を集めている。信託報酬はわずか0.06%、主要構成銘柄はJPモルガン・チェース、エクソンモービル、ユナイテッドヘルス・グループ、プロクター&ギャンブルなど、金融、エネルギー、ヘルスケア、消費財といったバリューセクターを中心に据えている。

VYMの配当利回りは2.9%と、バンガードS&P500ETFの1.4%に比して約2倍に達し、さらにPERは18.1倍とS&P500ETFの23.9倍を大きく下回る。高い配当水準と相対的な割安さを兼ね備えている点が、インカム重視の投資家層から支持されている。

また、セクター構成もバランスに優れ、VYMではテクノロジー・通信分野の比率は13.3%に留まり、S&P500の38.9%と比較して大幅に低い。これは、特定の業種や銘柄への偏重リスクを抑制する効果を持つ。株式市場全体がボラティリティを高める局面において、堅実なキャッシュフローを生み出す企業群に重点を置いたポートフォリオは、リスク分散と安定収益の両立を目指すうえで有力な手段となるだろう。

Source:The Motley Fool