2025年の厳しい相場展開を経て、ナスダック総合指数は安値から16%以上反発し、AI分野の有力銘柄が再評価されつつある。中でも、Adobeはプロフェッショナル向けAI機能の強化により堅調な業績を示し、株価割安感が台頭している。Alphabetは第1四半期決算で売上高前年比12%増、EPS49%増を達成し、生成AI戦略の成功と自社株買い拡大で投資妙味が高まった。
さらに、SoundHound AIは音声AI市場の成長を背景に売上高を前年比83%増とし、今後の爆発的成長可能性が注目される。この3社はいずれも、AI市場の長期的拡大に伴い中長期投資対象として検討余地があると考えられる。
Adobeが見せるAI統合戦略と市場評価の変化

Adobeは、PhotoshopやPremiere Proといった主力製品群に高度なAI・機械学習機能を組み込み、エコシステム全体の競争力を高めている。2025会計年度第1四半期には、売上高が前年比10%増、調整後EPSが13%増という好調な結果を記録し、経営陣は通期でさらなる成長を見込んでいる。
市場では、非上場企業であるCanvaやOpenAIによるAI競合製品の台頭が懸念材料とされるが、プロフェッショナル向け高品質ソフトウェアというブランド力が依然強固であることが、投資家の支持を支えている。Adobe株は現在、コンセンサス予想EPSの18倍というフォワードPERで取引されており、過去5年平均を大きく下回る水準で割安感が強まっている。
Adobeがこの水準で堅実な財務実績を継続できれば、株価の見直し余地は十分に残されていると考えられる。プロフェッショナル市場における強い需要と、ユーザーの囲い込み戦略が機能している限り、短期的な競争圧力を受けても中長期では安定した成長が期待できる。特に、AI分野での深い技術的優位性を維持できるかが今後の焦点となる。
Alphabetの第1四半期決算に見るAI成長戦略の成果
Alphabetは2025年3月31日終了の第1四半期決算で、売上高前年比12%増、調整後EPS49%増という驚異的な成績を残し、市場予想を大幅に上回った。Google Cloud Platformが企業向けAIインフラ提供で市場シェアを拡大し、最新の生成AIモデル「Gemini 2.5」が検索や広告事業におけるコンバージョン率向上に貢献した。
YouTube PremiumやGoogle Oneの有料会員も合計2億7000万件を突破し、非広告収益基盤が着実に成長している。さらに700億ドル規模の自社株買いプログラム承認と、四半期配当5%増額も発表され、株主還元姿勢を明確に示した。
Alphabet株は52週高値から22%下落した水準にあり、現在は押し目買いの好機と評価できる状況にある。今後もAI技術がGoogle検索やYouTubeの収益モデルを強化し続ける限り、キャッシュフロー創出力は高まり、安定成長が期待できる。ただし、競合環境や規制リスクの動向次第で短期的なボラティリティが生じる可能性には注意を要する。
SoundHound AIの売上成長と今後の拡大可能性
SoundHound AIは、音声AI技術への需要拡大を捉え、2024年の売上高を前年比83%増の8470万ドルまで急伸させた。さらに2025年には、売上高が1億5700万ドル〜1億7700万ドルに達すると予測され、成長モメンタムを維持する見通しである。同社は、車載AIアシスタント、カスタマーサービスチャットボット、レストラン向け音声注文機能といった多様な市場での活用を進め、1400億ドル規模とされるアドレス可能市場での存在感を高めつつある。
SoundHound AIの現在の株価は年初来で約52%下落しているが、この水準は成長ポテンシャルを十分に織り込んでいない可能性がある。長期的な視点では、音声インターフェース市場の拡大とともに収益機会が急増するシナリオが想定される。技術開発とパートナーシップ戦略を強化し、製品提供領域を広げられるかが、今後の株価回復の鍵を握るであろう。
Source: The Motley Fool