マイクロソフトは、Windows Server 2025 StandardおよびDatacenterエディション向けに、月額有料のホットパッチサービスを導入する方針を明らかにした。CPUコアあたり月額1.50ドルで、年間12回必要だった再起動を4回に削減できる見込みである。
本サービスは2025年7月1日から一般提供を開始予定で、利用にはAzure Arc接続が必須となる。Azure IaaSやAzure Stack利用者には引き続き無償で提供されるが、プレビュープログラム登録者には6月30日までの解除案内もなされた。
同社は、ホットパッチにより「パッチチューズデー」に伴う業務停滞の軽減が可能と強調しつつ、セキュリティ事情に応じた例外的な非ホットパッチ更新の可能性にも言及している。
Windows Server 2025におけるホットパッチサービスの具体的仕様と提供条件

マイクロソフトはWindows Server 2025向けに、CPUコアあたり月額1.50ドルの有料ホットパッチサービスを導入する。対象となるのはStandardおよびDatacenterエディションであり、これらはAzure Arcに接続されている必要がある。これにより、従来年間12回必要であったシステム再起動は、4回にまで削減される設計である。
サービス開始は2025年7月1日を予定しており、プレビュープログラム登録者には6月30日までの解除手続きが求められる。Azure IaaSやAzure Stack利用者には引き続き無償提供されるため、クラウド利用環境との区別が明確に打ち出された格好である。再起動を伴うベースラインアップデートは1月、4月、7月、10月に実施され、これ以外の期間においてホットパッチが適用される予定である。
このスケジュールにより、ユーザーは年間8回のホットパッチ適用と4回の再起動アップデートを受けることとなり、ダウンタイム最小化のメリットが期待される。ただし、Windows Server製品マーケティングマネージャーのジャニーン・パトリック氏は、セキュリティ要件により例外的に非ホットパッチ更新が発生する可能性もあることに言及している。
有料化による運用コストの変動とマイクロソフトの意図するエコシステム構築
マイクロソフトによるホットパッチ機能の有料化は、データセンター運用者にとって新たなコスト要素となるが、CPUコア単位での月額課金という設計はスケールに応じた柔軟なコスト管理を可能にする意図があるとみられる。特に大規模環境では、再起動回数の削減による運用効率向上が、追加コストを上回る利益をもたらす場面も想定される。
また、Azure Arc接続を必須とすることで、マイクロソフトは自社クラウドサービスとの連携を促進し、自社エコシステム内での一層の囲い込みを図っていると推察される。この施策は、従来型オンプレミス中心の運用から、クラウド接続を前提とした新しいサーバー運用モデルへの移行を促す狙いも透けて見える。
さらに、パトリック氏とプロニチキン氏の発言に見られるように、ホットパッチ期間中でも必要に応じて非ホットパッチ更新を適用できる柔軟性を持たせた設計は、セキュリティリスクへの即応体制を重視するマイクロソフトの姿勢を反映している。ビジネスインフラの堅牢性向上を図るための一環と位置づけることができる。
Source:TechRadar