Microsoftは、Copilot+ AI PC発表から1年を迎えるタイミングで、デスクトップ全体を記録・検索可能な新機能「Recall」を正式リリースした。
Recallは、Qualcomm Snapdragon X搭載PCに向けたAI強化版Windowsの中核機能であり、セキュリティとプライバシー懸念から一時ベータ版に格下げされていた。新バージョンでは、Windows Helloによる認証、データ暗号化、ローカル処理といった強化策が導入された。
これにより、過去のドキュメントやウェブ閲覧履歴などを直感的に検索可能となるが、Recallはオプトイン方式であり、不要であれば無効化・削除も可能である。なお、Recallを含む新機能は40TOPS以上のNPUを搭載したCopilot+ PCに限定されており、年内にはAMD Ryzen AI 300シリーズやIntel Core Ultra 200Vシリーズにも対応予定とされる。
Recall正式版が導入する新たなセキュリティ基準と機能概要

MicrosoftがCopilot+ AI PC向けに発表したRecallは、デスクトップ上の活動を自動で記録・保存し、過去の情報を迅速に検索できるAIベースの機能である。
Recallは、Windows Helloによる生体認証、端末内ローカル保存、暗号化処理など複数のセキュリティ対策を組み合わせ、外部へのデータ漏洩リスクを極小化する設計が採られた。これにより、RecallデータはMicrosoftや第三者と共有されることなく、利用者の端末内でのみ管理される構造となった。
さらに、Recallはオプトイン方式を採用しており、利用者が任意で機能を無効化または削除できる仕様である。この選択権の明示化により、プライバシーに関する懸念を抱く層にも一定の配慮が図られたといえる。
一方、Recallの利用には、40TOPS以上のNPUを搭載するCopilot+ PCが必須条件であり、現時点ではQualcomm Snapdragon X搭載機種が対象となっている。年内にはAMD Ryzen AI 300シリーズおよびIntel Core Ultra 200Vシリーズにも対応が広がる見通しが示されている。
Copilot+ PC市場拡大の背景とRecall機能の実用的課題
MicrosoftのNavjot Virk副社長は、Copilot+ PCの市場導入初年度における成長を「プレミアムノートPC市場の15%を占めた」と評価しているが、この数字は市場全体から見ると慎重な受け入れであったことも示唆している。
特に、ゲーミングPCやApple MacBookといった高価格帯の競合製品がCopilot+要件を満たしていない点からも、現段階ではCopilot+ PCが広範なシェアを獲得しているとは言い難い状況にある。
Recallの利便性は、ファイルや情報の整理が苦手な層にとっては大きな助けとなる可能性があるが、従来からファイル整理を徹底しているユーザーには利用価値が限定的であるとの指摘も見受けられる。
加えて、Windowsの標準検索機能がAI強化により大幅に向上している現状では、Recallの優位性がどこまで実感されるかは慎重に見極める必要がある。Recallの導入が真に意味を持つか否かは、ユーザーの運用スタイルに大きく依存するといえる。
Source:PC Gamer