Windows 10のサポート終了が迫る中、Ubuntuは個人ユーザー向けに「Extended Security Maintenance(ESM)」を無償提供し、最大10年間の脆弱性対応を可能にした。対象はUbuntu 20.04をはじめとするLTS版であり、Ubuntu Proアカウントの登録と簡単なコマンド操作のみで設定が完了する。

ZDNETによれば、Windowsとは異なり、費用や手続きの煩雑さを懸念することなく、堅牢なセキュリティ体制を維持できる点が注目されている。サーバー用途だけでなく、デスクトップ利用者にとっても、アップグレード計画の柔軟性が大きく高まる可能性がある。

Ubuntu ProとESMがもたらす10年サポートの具体的内容

Canonicalが提供するUbuntu ProとExtended Security Maintenance(ESM)は、Ubuntu 20.04などLTS版ユーザーに対して10年間の脆弱性アップデートを保証する仕組みである。ESMでは、クリティカルから中程度のセキュリティ脆弱性までをカバーし、対象はUbuntuに標準搭載されるすべてのパッケージに及ぶ。

ZDNETが指摘する通り、家庭用に限ればこのサービスは無料で提供され、登録作業はUbuntu Proアカウントを取得し、指定されたトークンでマシンを紐づけるだけと極めて容易である。

一方、商用利用においては有料プランへの移行が求められるため、個人用途と企業用途でコスト構造が大きく異なる点には留意すべきである。Windows 10の延長サポートが高額かつ複雑な手続きを伴うのに対し、Ubuntuは明確なガイドラインと迅速な手続きにより、ユーザーの負担軽減を実現している。この透明性と効率性は、長期的な運用戦略を描く上で重要な差別化要素と位置づけられるだろう。

Ubuntuのアップグレード推奨と長期運用戦略に与える影響

Ubuntu開発者や専門家の間では、常に最新バージョンへのアップグレードが推奨されている。特にLTS版間での移行、例えば20.04から22.04、さらに24.04への移行が推奨される理由は、セキュリティと機能向上の両立にある。しかし、ZDNETの記事が示すように、ESMによる10年サポートの存在は、アップグレードに要する時間やコスト、リスクへの懸念を大幅に緩和する。

これにより、システムが安定稼働している環境において、無理にアップグレードを急がず、次期LTS版の安定版(例:24.04.1)リリース後に計画的な移行を検討する選択肢が現実味を帯びる。運用現場においては、リスク管理とコスト最適化の観点から、ESMによる延命策と段階的アップグレードを組み合わせた柔軟なIT資産管理が有力な戦略となることが予見される。

Source:ZDNET