スティフェルのアナリスト、スティーブン・ガンガロ氏は、テスラの目標株価を455ドルから450ドルにわずかに引き下げつつも「買い」評価を維持した。これにより、テスラ株には今後12か月で73%の上昇余地があるとの見方が示された。

短期的な逆風として、第1四半期納車台数の予想未達やモデルY生産切り替えに伴う供給不足がある一方、イーロン・マスク氏のテスラ専念宣言や低価格モデル開発進展、ロボタクシー実用化計画などが好材料とされている。関税問題の解消も株価押し上げ要因になる可能性が指摘された。

スティフェルがテスラ株に「買い」評価を維持する理由

スティフェルのスティーブン・ガンガロ氏は、テスラ株の目標価格を450ドルに修正しながらも「買い」評価を堅持した。ガンガロ氏は、短期的な課題として関税リスクやブランドイメージの揺らぎ、第1四半期の納車台数未達を挙げつつも、それらが一時的な要素に留まると分析している。特に、モデルYの生産切り替えに伴う供給不足については、需要自体が減退したわけではなく、構造的な問題ではないとの見解を示している。こうしたバランス重視のアプローチは、単なる楽観論ではなく、市場動向を冷静に評価したものといえる。

さらに、テスラの経営陣が短期的な課題を認めつつ、次の成長フェーズに向けた計画を明確に提示している点も好材料とされた。新型モデルの投入、サイバーカブ量産計画、オースティンでのロボタクシー展開といった複数のカタリストが、株価の再評価を促す可能性がある。これらの動きを踏まえると、ガンガロ氏の予想する73%の上昇余地は、単なる希望的観測ではなく、一定の裏付けを持つものと考えられる。

ロボタクシー戦略と低価格モデルがテスラ株価に与える影響

テスラは短期的な供給面の課題を乗り越えつつあり、今後は成長ドライバーとして低価格モデルとロボタクシー事業に大きな期待が寄せられている。イーロン・マスク氏は、5月以降テスラへのコミットメントを強める意向を示しており、経営の集中強化はプラス材料とみられる。特に、6月にオースティンで投入予定のフルオート運転機能付きモデルYは、ロボタクシー市場開拓の布石となる可能性がある。この分野における成功は、テスラに安定的なライドシェア収益をもたらし、株価評価の大幅な押し上げに寄与しうる。

また、2024年に世界で最も売れたモデルYの新型投入により、ラインナップの魅力が再強化される見通しである。旧型モデルの完売実績も示されたことで、値引き圧力が低下し、新型モデルの価格維持と需要の安定化が期待できる。これらの点を踏まえれば、スティフェルが強気姿勢を維持するのは自然な流れといえる。一方で、関税問題や競争激化といった外部要因には引き続き注意を払う必要があるだろう。

Source:The Motley Fool