Nvidiaは中国市場での販売制限により55億ドルの減損損失を計上し、さらにHuaweiが同社の最先端チップに匹敵する新製品を開発中と報じられた。Huaweiの新チップ「910D」はNvidiaのH100に比べて電力効率で劣るが、中国政府による国産推進の後押しもあり、急速に普及する可能性が指摘される。
米国の輸出規制が続く限り、Nvidiaの中国依存は一層リスクを伴うものとなる見通しであり、同社の株価は年初来で17%下落した。AWSやMicrosoftによる設備投資の鈍化も重なり、AIサーバー需要の伸び悩みが収益見通しを曇らせている。
中国市場におけるNvidiaの苦戦とHuaweiの台頭

Nvidiaは中国市場において、販売規制に伴う55億ドルの減損損失を計上した。さらにHuawei Technologiesが、NvidiaのH100に対抗しうる新型チップ「910D」を開発していることが明らかとなった。Huaweiのチップは、複数のシリコンダイを組み合わせるパッケージング技術を採用しており、性能向上を図っているが、電力効率はH100より劣るとされている。
この新チップにより、中国はNvidia製品の輸入依存を低減できる可能性がある。米国による半導体輸出規制が続く中、中国政府は国産品の採用を強力に推進しており、Huawei製チップの普及が急速に進む展開も予想される。電力供給面で国家統制が強い中国では、電力消費量の大きさが大きな障害とはならないため、Nvidiaにとっては競争環境の一層の悪化が懸念される。
一方、Huaweiチップの劣る電力効率は、グローバル市場での競争力に限界をもたらす可能性がある。米国や欧州のAIサーバー事業者にとって、消費電力の最適化は重要な課題であり、この点においてNvidiaの優位性は維持される可能性があるとみられる。
株価下落とAI需要への懸念が重なるNvidiaの現状
2025年に入り、Nvidiaの株価は17%下落し、数週間前には最大で27%もの急落を記録した。この背景には、AWSやMicrosoftがAI向けデータセンター投資を減速させた影響があるとされ、AIサーバー需要の伸びに対する期待が揺らいでいることが指摘される。投資家たちは、AI技術の普及速度が想定より遅れる可能性を警戒しており、短期的な投資回収が難しくなるリスクを織り込み始めている。
それでもなお、アナリスト予想ではNvidiaの売上高は今四半期に431億ドルへと急増し、前年同期の260億ドルから大幅な成長を遂げる見込みである。1株当たり利益も0.61ドルから0.89ドルへの増加が期待されており、中長期的な成長ストーリー自体が崩れたわけではない。過去5年間で株価が1,470%も上昇した実績は、依然として投資家にとって強力な魅力を放っている。
ただし、短期的には株価のボラティリティが高まる可能性があり、慎重な動向観察が求められる。特にAIサーバー市場の需要動向が今後の業績に直結するため、関連企業の設備投資計画には引き続き注視する必要がある。
Source:24/7 Wall St.