Display Supply Chain ConsultantsのアナリストRoss Young氏が、Apple Watch SE 3のディスプレイが既に2種類のサイズで生産に入っていると報告した。氏によれば、サイズは約1.6インチと1.8インチであり、現行モデルよりわずかに大型化する可能性がある。現在の40mm/44mmモデルに代わり、Series 9の41mm/45mmに近い仕様となる見込みだ。

ディスプレイの量産が始まるのは通常、製品発表の数ヶ月前であり、今回の動きからApple Watch SE 3は、Series 11やUltra 3と並び2025年9月の発表が視野に入る。低価格モデルの刷新として、サイズの拡張が製品の差別化とシリーズ継続の鍵となるか注目される。

量産に入った2サイズの新型ディスプレイが示すSEモデルの転換点

Ross Young氏によれば、Apple Watch SE 3に向けた2種類のディスプレイ(約1.6インチと1.8インチ)がすでに量産工程に入ったという。この情報は、同氏がDisplay Supply Chain ConsultantsのアナリストとしてXの購読者向けに発信したもので、サプライチェーンの動向に精通した人物からの情報とあって、市場では高い信頼性をもって受け止められている。

AppleはこれまでSEシリーズにおいて40mmと44mmのケースサイズを採用してきたが、今回のディスプレイサイズが示唆するのは、筐体の微調整を伴う外観仕様の刷新である可能性だ。Appleは従来、SEシリーズにおいては上位機種との差別化のため、最新機能やデザインの導入を見送る傾向があった。

しかし今回、Series 9の41mm/45mmに近いディスプレイサイズを採用する動きは、ミッドレンジ機種においても視認性や没入感といった体験価値を重視する戦略への変化を示唆している。9月に予定されるSeries 11やUltra 3との同時発表が濃厚とされる中、SE 3のディスプレイ拡大は、単なるスペックの更新ではなく、シリーズ全体の再設計の一端となる可能性も否定できない。

ディスプレイ拡大がもたらす位置づけの再定義と価格戦略への影響

Apple Watch SE 3に1.6インチおよび1.8インチのディスプレイが搭載されることで、これまでの40mm/44mmモデルとの差異は明確になる見込みだ。現行のSEモデルは、機能を抑えたエントリー機として位置づけられているが、ディスプレイの大型化は視認性の向上と操作性の強化をもたらす。

これにより、従来のエントリーモデルという役割から一歩踏み出し、コストパフォーマンスとユーザー体験の両立を図る「準主力機種」としての位置づけが強まる展開が考えられる。ただし、ディスプレイサイズの拡張は製造コストの増加を伴うため、販売価格への影響は避けられない可能性がある。

AppleはこれまでSEモデルを手頃な価格で提供することで、初めてのスマートウォッチとしての選択肢や、iPhoneとの連携を強調する販売戦略を取ってきた。その観点から見ると、価格上昇は従来のターゲット層からの乖離を生むリスクも孕んでいる。仮に価格が据え置かれる場合、他機能の削減や旧チップ採用によるバランス調整が施されることも十分にあり得る。

今回のディスプレイ刷新は、SEシリーズの価値定義そのものを問う転機となるかもしれない。

Source:9to5Mac