NVIDIAはGeForce RTX 50シリーズの深刻な不具合に対処するため、最新のGPUホットフィックスドライバ「バージョン576.26」を公開した。対象タイトルには『Black Myth: Wukong』『Forza Horizon 5』『Resident Evil 4 Remake』など10本以上が含まれ、ゲームクラッシュやグラフィックの異常といった問題に対する修正が中心となっている。

また、本ホットフィックスは前バージョン576.15の内容も包含し、HDR環境下やDisplayPort 2.1使用時の不具合、SteamVRの同期問題、GPUクロックの異常低下といった複数の技術的障害にも対応している。正式な品質保証は簡略化されているが、迅速なトラブル解決を目的とした緊急パッチであり、RTX 50ユーザーにとっては導入検討の価値があるといえる。

GeForce RTX 50シリーズに特化した不具合修正が進行 対象ゲーム10本超に対応

NVIDIAは最新のホットフィックス「バージョン576.26」において、GeForce RTX 50シリーズに特有の重大な不具合を中心に修正を施した。Black Myth: Wukongでの変身時のクラッシュ、Red Dead Redemption 2でのDirectX 12モード起動直後の異常終了、Forza Motorsportの描画破損など、具体的な問題を列挙しつつ、それぞれのゲームプレイ体験に直結する修復を行っている。

さらに、HDR環境におけるLG製ディスプレイのブラックアウトや、高リフレッシュレート時の画面のちらつきといった、映像出力に関する問題にも踏み込んでいる点は注目に値する。これらの修正は、従来のドライバパッケージには含まれていなかった内容であり、迅速性を優先するホットフィックスならではの対応策といえる。

対象ゲームにはForza Horizon 5、Horizon Forbidden West、Dead Island 2、Resident Evil 4 Remakeなど人気タイトルが含まれており、実行環境に直結するトラブルの修正が含まれることから、ゲーマーにとっては即時導入を検討すべきアップデートとなっている。もっとも、この修正群は旧世代のGeForceユーザーに直接恩恵があるとは限らず、RTX 50シリーズ特有の構成に起因する問題への応急的対処に近い。対象タイトルの範囲が広がったことで、今後の通常ドライバへの統合がどのように進むかも注視されるべき点である。

ホットフィックスドライバの構造と品質保証の省略が示すNVIDIAの優先順位

今回提供された576.26ホットフィックスは、通常のWHQLドライバとは異なり、限られた対象ユーザーに対して早期にバグ修正を届ける形式である。NVIDIAはこの配布方法において、品質保証(QA)工程を簡略化し、より迅速な対応を図っていることを明言しており、安定性よりも修正の即時性に重きを置く運用方針が表れている。特定のゲームや機能における致命的な問題に対しては、正規のドライバ更新を待つより先に応急的な対応を求める声が強く、それに応えるかたちでホットフィックスは機能している。

ただし、こうした構造にはリスクも内包する。手動でのダウンロード・インストールを必要とする運用形態は、一般ユーザーには敷居が高く、誤用や適用ミスの可能性も排除できない。特に、ホットフィックスがベータ版であることを踏まえると、環境によっては新たな不具合を誘発する懸念もある。

にもかかわらず、NVIDIAがこの形式を維持し続けるのは、フィードバックループとパッチ適用サイクルを短縮し、公式ドライバに先行して信頼性向上を図る戦略的意図があるとみられる。市場での製品品質とブランド信頼性を保つうえで、迅速な不具合対応体制の整備は競争力維持の要となる。

Source:HotHardware