Nvidiaは、RTX 50シリーズに関連する複数の不具合やクラッシュへの対応として、異例の5度目となるホットフィックスドライバ「バージョン576.26」を公開した。今回の修正には、GPU温度異常の是正をはじめ、『Forza Horizon 5』のちらつきや『Black Myth: Wukong』のランダムクラッシュ、さらにはDisplayPort 2.1環境での画面異常などが含まれている。これらは過去数週間に段階的に修正されてきたが、根本的な安定性の確保には依然として課題が残っている。

一方で、かつてドライバ品質の高さを誇ったNvidiaが、現行世代でAMDを揶揄していた時代とは様相を大きく変えている点も注目される。繰り返されるホットフィックスの発行は、製品リリース以降も想定外のバグが断続的に発生している現状を示しており、信頼性の揺らぎが市場の懸念材料となりつつある。

RTX 50シリーズを巡る連続トラブル Nvidiaが5度目の緊急ドライバ修正に踏み切る

Nvidiaは、最新のホットフィックスドライバ「576.26」を投入し、RTX 50シリーズGPUで発生していた複数の深刻な不具合への対処を試みた。これには、『Forza Horizon 5』における画面のちらつき、『Forza Motorsport』でのトラック破損表示、ならびに『Black Myth: Wukong』のランダムクラッシュといったゲーム特有の問題が含まれている。

さらに、『Red Dead Redemption 2』や『Horizon Forbidden West』など他の大型タイトルでも安定性向上を狙った修正が加えられており、DisplayPort 2.1接続時のブラックスクリーン発生やグレースクリーンによるクラッシュにも対応している。

今回のドライバは、過去に公開された576.02および576.15の内容を包括した上で、新たなバグ修正が上乗せされる形となった。リリースからわずか数ヶ月で、これほど頻繁な修正対応が求められることは異例であり、ハードウェアとソフトウェア間の相互調整における想定以上の難航が推察される。ユーザーが報告した不具合の質と量が、Nvidiaの開発・品質保証体制に相応の見直しを迫っているのは明白であり、安定性への信頼を回復できるかが今後の焦点となる。

信頼性の象徴から混乱の象徴へ 過去の発言と現在のギャップが浮き彫りに

2022年当時、Nvidiaはベータドライバの信頼性に疑義を呈し、AMDが配布していた未完成なドライバ提供姿勢を公然と批判していた。同社は当時、「最小限のテストしか経ていない不完全なベータドライバを出すことはない」と明言しており、開発ブランチを乱立させてユーザーを混乱させる行為を強く否定していた。しかし、RTX 50シリーズのリリース以降、同社自身が連続的にホットフィックスドライバを提供している現状は、過去の発言と著しく乖離している。

とりわけ注目すべきは、修正対象となる不具合の範囲が極めて広範かつ深刻である点である。一部のゲームの描画不良にとどまらず、モニターとの接続相性やリフレッシュレート設定時の安定性まで影響が及んでおり、従来の品質管理基準が機能していない可能性も否定できない。

Nvidiaが築いてきた「安定性と完成度の高いドライバ」という評価は、今回の連続対応によって揺らぎつつある。企業の発信と実態の乖離が生む不信は、長期的にはブランド価値の毀損につながりかねず、同社は今こそ抜本的な体制見直しを迫られている。

Source: The Verge