ドナルド・トランプ大統領による「政府効率局(DOGE)」創設以降、連邦政府機関はIT基盤の近代化と効率化を急速に推進している。この動きの中核を担うのが、クラウドベースのワークフロー自動化を提供するServiceNowである。2025年Q1決算では、売上高30.9億ドル、EPS4.04ドルといずれも市場予想を上回り、株価は発表後に約15%上昇した。

公共部門での売上は前年同期比で30%以上増加し、100万ドル超の新規契約件数も前年から上昇。ノースカロライナ州などでの導入事例がコスト削減効果を証明し、AI機能拡充との相乗効果も奏功している。政府主導の支出効率化が続く限り、ServiceNowの公共部門収益拡大と株主リターンの増大は持続する可能性がある。

連邦政府の支出削減政策がServiceNowに提供した成長機会

2025年初頭に設立された政府効率局(Department of Government Efficiency, DOGE)は、公共支出の最適化と冗長業務の排除を目的に、政府各機関に対してITの近代化を促進した。この流れの中で、クラウド型ワークフロー自動化を提供するServiceNow(ティッカー: NOW)は、連邦機関の業務改革を支援する中核的存在として浮上した。

同社のプラットフォームは、調達、ケース管理、IT運用の合理化において顕著な効果を発揮し、「少ないコストで多くの成果」を求める政府のニーズに一致している。2025年第1四半期には、米公共部門からの売上が前年同期比30%以上増加し、100万ドル超の新規年間契約は72件に達した。

この急拡大の背景には、トランプ政権下での急進的な効率化方針があると考えられる。ローリー市での事例では、ITスタッフ削減と重複作業の排除により31.5万ドルの年間コスト削減が実現した。連邦機関は成果を確認しつつ、他の自治体や省庁にも導入を波及させている。こうした動きが今後も継続すれば、ServiceNowの公共部門収益はさらに拡大する可能性があるが、政府の方針変更や支出構造の見直しが進めば、その勢いには変動の余地がある。

四半期決算で浮き彫りになったServiceNowの成長ポテンシャルと課題

ServiceNowは2025年4月24日に発表した第1四半期決算において、売上高30.9億ドル、前年同期比18.5%増という堅調な実績を示した。調整後1株利益(EPS)は4.04ドルで、前年の3.41ドルから大幅に上昇し、アナリスト予想の3.83ドルも大きく上回った。この結果を受けて株価は約15%上昇し、ウォール街の評価は「Strong Buy」で維持されている。特に連邦政府との取引拡大が全体成長をけん引しており、公共部門売上が全体の業績を下支えする構図となっている。

一方で、ServiceNowのバリュエーションは業界水準と比べて高い水準にある。予想PERは57倍、売上高倍率は15倍であり、業界中央値(PER20倍、売上倍率2.5倍)を大きく上回っている。加えて2025年初頭には関税の影響による株価下落も経験しており、外的要因による価格変動リスクも無視できない。短期的には連邦契約の追い風を受ける構造にあるが、長期的には生成AIやエージェント型AIの導入がどれほど実用成果を上げられるか、ならびにソフトウェア分野全体の投資評価水準の変動が業績の持続性に与える影響が注視されるべきである。

Source: Barchart