2024年に株価上昇を牽引した「マグニフィセント・セブン」ことApple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Nvidia、Meta、Teslaの7銘柄が、2025年第1四半期は一転して大幅下落を記録している。特にTeslaは前年高値から45%近く下落し、利益も40%減と市場予想を大きく下回った。
Amazonはホワイトハウスによる関税コストの公表批判が逆風となり、Nvidiaも移動平均線を大きく割り込むなど軟調だ。一方で、MetaとAlphabetは増収増益ながら通貨影響への懸念が残り、全体として指数への影響力が高い7社の失速は、ナスダックやS&P500の不安定さをより顕著にしている。
テスラとアマゾンの急失速が市場心理に与える波紋

テスラとアマゾンの株価低迷は、2025年に入りテクノロジーセクター全体の不確実性を象徴する動きとして市場の注目を集めている。テスラは4月の決算発表で第1四半期のEPSが前年同期比40%減の27セントとなり、売上も前年比9%減の193億ドルにとどまった。市場予測を大幅に下回ったことで、株価は年初来で34.7%も下落し、昨年12月の高値からは約45%の下落となっている。
アマゾンも通貨逆風に加え、関税コストの表示を巡るホワイトハウスの批判を受けて、株価は200日移動平均線を下回り続けている。2月には予想を上回る好決算を発表したものの、今期の売上と営業利益については慎重な見通しを示していた。両社の低調なパフォーマンスは、消費環境の変化や国際的な規制の影響を受けやすい業種において、成長株と見なされてきた巨大企業ですら調整局面にあることを浮き彫りにしている。
エヌビディアとマイクロソフトの決算が示すAI関連銘柄の温度差
エヌビディアとマイクロソフトの直近の決算は、同じAI関連株でありながら投資家の評価に明確な温度差があることを物語る。エヌビディアは2月の決算で市場予測を上回る好成績を収めたが、足元では50日線・200日線を大きく下回る水準にあり、株価は年初来で18.3%も下落した。
一方で、マイクロソフトは1月の第2四半期決算でAI関連の好調な業績によりEPSが3.23ドル、売上が696億ドルと市場予想を上回ったものの、Azureクラウドの成長鈍化が不安材料として浮上し、株価の戻りは限定的である。AI分野における競争優位性を誇る両社でさえ、短期的な収益の伸び悩みや期待先行の反動によって市場からの評価が揺れている。AIというテーマ自体は依然として長期成長の柱ではあるが、投資家はより実利的かつセグメントごとの成長力に敏感に反応している。
アルファベットとメタの回復基調に見える為替の影
アルファベットとメタ・プラットフォームズはともに第1四半期決算で予想を上回る成績を示し、特にGoogleは48%の利益増と12%の売上増という好調ぶりを見せた。一方で、両社ともに株価は200日移動平均線を回復しきれておらず、回復の足取りは重い。その背景には、為替市場の変動が依然として収益見通しに影響を及ぼしている点がある。
メタは1月末の決算で50%の利益増を報告したが、今期の見通しでは強い米ドルによる通貨圧力を警戒材料として挙げていた。こうした外部環境要因に対する脆弱性は、広告依存度が高い企業にとって中期的な課題となり得る。決算内容だけを見れば好調と映る両社だが、市場はグローバルマクロの影響を織り込みつつあり、短期的な株価の戻りには慎重な見方が根強い。
Source:investors business daily