MicrosoftはWindows 11におけるユーザー体験の一貫性向上を目的とし、従来のコントロールパネルから設定アプリへの段階的移行を推進している。今回明らかになったのは、「文字の繰り返し遅延」や「繰り返し速度」など、アクセシビリティ関連のキーボード設定が対象となる点である。
これらの変更は、DevおよびBetaチャネルの最新Cumulative Updateに非表示で含まれており、Windows関連のリーク情報で知られるPhantomOfEarth氏が4月25日にX上で言及した。すでにマウス設定も同様の移行が進められていることから、今回の変更はその延長線上にあると見られる。
現時点ではテスト段階に留まっているが、コントロールパネルの完全廃止と設定アプリへの統合という長期的方針を裏付ける動きとして、注視すべき技術的変化といえる。
アクセシビリティ領域の設定刷新 キーボード項目が新たな移行対象に

Microsoftは、Windows 11のアクセシビリティ設定において、キーボードに関する特定のオプションをコントロールパネルから設定アプリへ移行させる動きを進めている。対象となるのは「文字の繰り返し遅延」および「繰り返し速度」に関する項目であり、これらは既に開発者向けのDevチャネルおよびBetaチャネルにおけるCumulative Updateに統合されているが、現段階ではデフォルトで非表示とされている。
この変更を初めて示唆したのは、Windowsに関するリーク情報で知られるPhantomOfEarth氏であり、同氏は2025年4月25日、X(旧Twitter)上で該当情報を公開した。以前にはマウス関連設定も同様に移行されており、今回の動きは周辺機器の設定項目全体を再構成する流れの一環と見なせる。
この種の機能移行は、操作性の一貫性や視認性の向上といったユーザーエクスペリエンスの改善に直結するものである。特に、旧来のUIであるコントロールパネルと新設計の設定アプリの共存が、煩雑さや混乱を招くとの指摘は以前から存在していた。Microsoftの今回の判断は、こうした懸念への対応と見ることができよう。
レガシーUIからの脱却と今後の移行完了時期の不透明性
コントロールパネルは、Windows OSにおける長年の設定管理の中心であったが、そのインターフェースや機能体系は近年のUI設計思想とは乖離が大きい。Windows 11においては、設定アプリへの統合が戦略的に進められているが、現在も多くの高度設定やレガシー機能が旧インターフェース上に残されている。今回のキーボード設定移行も、こうした過渡期のプロセスの一部である。
しかしながら、この移行プロセス全体の完了時期については明確な指標が存在しておらず、Microsoft自身も公式にロードマップを提示していない。過去のマウス設定の移行や、他のコントロールパネル項目の残存状況から判断すると、本件は優先度の高い開発項目ではない可能性がある。結果として、完全移行には次期バージョン、たとえばWindows Copilotのような新OSが必要となる公算がある。
一方で、こうした段階的移行の手法には、開発と運用コストの分散、ユーザーからの段階的フィードバック取得といった実務的な利点も認められる。完全移行を急がず、慎重に最適化を図る姿勢は、短期的な不統一よりも長期的な整合性を重視する企業戦略の一端とも捉えられる。
Source:TechRadar