Lenovoは、中国で開催されたイベントにおいて、AppleのMac Studioに真っ向から挑む新型ミニPC「ThinkCentre neo Ultra 2025」を発表した。最大でIntel Core Ultra 9 285のデスクトップCPUおよび180W TGPのGeForce RTX 5060 Ti 16GBを搭載可能な本機は、AI処理用NPUカードやThunderbolt 4、32GB RAMと1TB SSDを標準装備し、3.6リットルの筐体に高性能を凝縮した構成となっている。
エントリーモデルの価格は14,999元(約2058米ドル)からとされ、中間モデルには未発表のCore Ultra 7と上位GPUが採用される見込みである。来月のComputex 2025にて、さらなる詳細と実機展示が予定されており、プロフェッショナル向けのデスクトップ市場に新たな競争軸を生み出す可能性がある。
小型筐体に詰め込まれたハイエンド構成とその戦略的意図

Lenovoが公開した「ThinkCentre neo Ultra 2025」は、わずか3.6リットルという筐体サイズに300W電源を内蔵しながら、最大構成でIntel Core Ultra 9 285デスクトッププロセッサとGeForce RTX 5060 Ti 16GB GPUの搭載を可能とする。
このハードウェア構成は、モバイル向けチップを一切排除し、完全なデスクトップ仕様に特化した点が注目される。また、Thunderbolt 4の高速接続やAI推論処理用NPUカードへの対応といった機能群も標準装備されており、従来のミニPCでは到達し得なかったプロフェッショナルユースの領域に踏み込んでいる。
価格設定についても、中国市場におけるベースモデルが14,999元(約2058米ドル)、中間モデルが19,999元(約2744米ドル)と明示されており、高性能デスクトップとの競合を意識した設計と読み取れる。
さらに、32GB RAMと1TB SSDを標準搭載としながら、最大64GBメモリや4TBストレージへの拡張を視野に入れている点からも、持続的な運用と将来性を重視する層を主要ターゲットとした展開が想定される。筐体の小型化と性能の両立は、場所を取らず高処理能力を求める現代のワークステーション需要に合致しており、市場投入のタイミングと方向性には極めて戦略的な意図がうかがえる。
Apple Mac Studioへの対抗構図と差別化要素の焦点
「ThinkCentre neo Ultra 2025」はAppleのMac Studioを強く意識した構成であるが、その方向性には明確な差別化が存在する。Mac StudioがApple Siliconを中心に独自エコシステムで構築されている一方、Lenovoの本機はx86ベースのIntel Core UltraシリーズとNVIDIA製のデスクトップGPUを採用し、より柔軟なソフトウェア運用と汎用性を重視した設計となっている。
また、Mac Studioが8L超のシャーシを持つのに対し、neo Ultraは約3.6Lと半分以下の体積に収めながら、300W級の電力供給と高度な冷却設計を可能としている点も技術的に特筆すべきである。
さらに、AI処理への対応として、専用の推論処理ユニット(NPUカード)搭載が可能であることは、映像編集・3Dレンダリング・ビッグデータ処理といった分野における応用の幅を広げる。
一方で、Appleが優位性を持つシームレスなOS統合や独自チップによる効率性に対し、Lenovoはコンポーネント選択の自由度とパフォーマンス性能で対抗する構図にある。完全にMac Studioの代替として機能するかは今後の検証が必要だが、少なくともWindowsベース環境で高負荷処理を必要とする層にとって、有力な選択肢となる可能性は高い。
Source:TweakTown