ASUSの新型マザーボード「Pro WS TRX50 SAGE」が、未発表の「Ryzen Threadripper 9000」および「Threadripper Pro 9000」シリーズに対応すると公式リストに明記された。これにより、Zen 5世代のハイエンドデスクトップ向けCPUが近日中に登場する可能性が極めて高まった。

最大96コア192スレッド、TDP最大350Wが噂される新型プロセッサ群は、サーバー向けEpycと主流Ryzenの中間を担う高性能領域をさらに拡充するとみられている。TRX50マザーボードはDDR5 R-DIMM最大1TB、PCIe 5.0 x16スロット3基、Wi-Fi 7など先進仕様も備える。

正式発表は2025年5月21日のComputex基調講演とされ、既に出荷伝票で24〜32コアモデルの存在も確認済みであり、最上位モデルを含む全体像の公開に注目が集まっている。

ASUSのTRX50 SAGEが示すThreadripper 9000の実装確度と技術仕様の全容

ASUSが公式に発表したPro WS TRX50 SAGEマザーボードの対応プロセッサ一覧に「Ryzen Threadripper 9000」「Threadripper Pro 9000」の名称が記載されたことは、従来の噂を裏付ける具体的な技術証拠として位置づけられる。

対応ソケットやフォームファクターの詳細は明らかにされていないが、最大1TBのR-DIMM DDR5メモリやPCIe 5.0 x16スロット3基の実装、10Gbpsイーサネット、Wi-Fi 7、VRM冷却強化などの仕様が列記されており、プロフェッショナルユースを明確に想定した設計思想が読み取れる。

また、リストに含まれる各機能は、単なる互換性ではなく、次世代Threadripperの高発熱・高負荷動作に対応するための基盤技術の整備を意味する。過去のHEDTプラットフォームでは省略されがちだった法人向け冷却設計や大容量メモリ対応が標準搭載されている点は、商用ワークステーション市場への本格的な攻勢を示唆している。

加えて、TRX50チップセットは、従来のWRX80とTRX40の中間を埋める設計が予想され、RyzenとEpycの間を埋める戦略的製品群としてThreadripper 9000の存在感をさらに高める材料となっている。

AMDがHEDT市場で維持する優位性と今後の競争構図への影響

Threadripperシリーズは初代登場以降、HEDT市場における事実上の標準機として確固たる地位を築いてきた。近年はIntelもコア数を増強しXeon W-3400シリーズなどで追撃の姿勢を見せているが、マルチスレッド性能、メモリ帯域、PCIeレーン数といった観点では依然としてAMDが主導権を握っている状況にある。

特にZen 5アーキテクチャの採用により、スループット性能の最適化や電力効率の改善が期待されるThreadripper 9000シリーズは、これまで以上に大規模なデータ処理や3Dレンダリングなどの業務用途における優位性を拡大する可能性がある。

一方で、最大96コアという構成はTDPの面でも制約を抱え、実装環境の整備が求められるため、一般的なデスクトップ用途への普及は限定的となる公算が大きい。これは、AMDがThreadripper 9000を特定業種・分野における「専用機」として位置づけていることを意味する。

Computex 2025における正式発表が実現すれば、マーケットに対するインパクトは極めて大きくなるが、同時に今後の製品展開においては、Intelとの技術主導権争いがいっそう激化することが予想される。今後の注視点は、Zen 5アーキテクチャの真価と、それを最大限に活かすマザーボード設計との整合性に移りつつある。

Source:ExtremeTech