Nvidiaは2025年4月、新たなGPUドライバ「ホットフィックス576.26」をリリースし、RTX 50シリーズにおけるゲーム中のクラッシュ、DisplayPortの表示不具合、温度関連のバグなどに対応した。これは過去数ヶ月で5度目の修正アップデートであり、同シリーズ特有の不安定性が依然として解消されていないことを示唆している。
今回のパッチでは、『Forza Horizon 5』『Black Myth: Wukong』などのタイトルにおける描画エラーやクラッシュ、LG製モニターとの相性問題、マルチモニター環境でのグレースクリーンクラッシュにも対処。高リフレッシュレート時のちらつきといった表示面の改修も含まれる。
短期間での連続リリースは、かつて「品質重視」を標榜していた同社の方針転換と捉えられる可能性がある。競合AMDへの過去の批判との整合性も問われる中、ユーザーの信頼回復には今後の安定性向上が不可欠となろう。
異例の修正頻度が示すRTX 50シリーズの構造的課題

Nvidiaは、RTX 50シリーズのGPUに対し、わずか数ヶ月の間に5度にわたりホットフィックスを投入するという異例の対応を取っている。直近の「ホットフィックス576.26」は、ゲーム中のクラッシュやDisplayPort 2.1利用時のブラックスクリーン、マルチモニター環境下でのグレースクリーンクラッシュなど、多岐にわたる不具合への修正が含まれている。
『Forza Horizon 5』『Resident Evil 4 Remake』『Black Myth: Wukong』といった具体的なタイトル名を挙げたパッチ内容は、影響が限定的な問題ではなく、広範かつユーザー体験を根底から揺るがすものであることを示している。
安定性に関する懸念が一部ユーザー層にとどまらず、製品ライン全体に影響を及ぼしている可能性は否定できない。特に、高リフレッシュレート時のちらつきや温度関連のバグなどは、ハードウェアの設計やファームウェアとの整合性にも関わる複合的な問題であると見られる。
Nvidiaが従来の高評価を維持できるか否かは、この連続する修正群が一過性のものであるか、構造的欠陥の表れであるかにかかっている。
高性能を求めた先にある信頼性の試練とブランドへの影響
かつてNvidiaは、AMDに対し「テスト不十分なベータドライバーの乱発」を批判し、自社のドライバー品質の高さを誇っていた。2022年4月時点のこの姿勢は、現在の状況と著しく対照的であり、RTX 50シリーズに対する短期的な複数回の修正リリースは、その信頼性への評価を再考させる要因となっている。
ドライバーの安定性は、ハードウェアの性能以上に重要な購買判断材料であり、今回の件はNvidiaのブランド価値に少なからぬ影響を及ぼすものと考えられる。
一方で、AI処理やレイトレーシングといった技術革新が進む中、GPUの設計はますます複雑化しており、それに伴う不具合の発生は一定程度避けがたい側面もある。
問題はその対応姿勢と透明性であり、今回のようにパッチの具体的な修正内容を明示し、迅速に反映する体制自体は、ユーザーとの信頼関係を維持する上で有効である。ただし、今後も同様の不具合が頻発すれば、初期購入層の支持を失うリスクは無視できない。製品性能と品質保証のバランスが、今後の市場競争を左右する鍵となる。
Source:Tech Edition