Samsungは、Galaxy A56 5GやA36 5Gなどの一部Aシリーズ端末に、Googleの生成AI「Gemini」を即時起動できる専用サイドボタンを導入すると発表した。この新機能はOne UI 7を搭載した対象機種に5月初旬よりアップデートで提供される見込みで、従来の音声入力やアプリ起動を介さずAI機能を手軽に呼び出せる点が特徴である。

本機能はSamsung独自の「Awesome Intelligence」とも連携し、レストランの検索や予定管理といった日常的な作業を効率化することが想定されている。SamsungとGoogleの協業により、上位モデルで見られたAI体験をより広い価格帯のユーザーに展開する姿勢が明確になった。

Gemini専用ボタンがAシリーズにも展開 AI起動が物理操作でより身近に

Samsungが発表した新機能では、Galaxy A56 5GやA36 5Gなどの最新Aシリーズ端末において、Geminiを呼び出すための専用サイドボタンが導入される。このボタンは従来の電源ボタンと兼用され、ワンプッシュでGoogleの生成AIを立ち上げることが可能となる仕組みである。アップデートの提供は2025年5月初旬を予定しており、対象機種にはA25 5GやA24なども含まれている。これにより、エントリーモデルでもAIアシスタントへのアクセスが大幅に簡素化される見通しだ。

また、このボタンを通じて利用できるGeminiは、SamsungがAシリーズ向けに展開している「Awesome Intelligence」との連携も実現している。たとえば、近所の飲食店検索やスケジュールの確認といった日常的な作業が、アプリを開く手間なく行えるようになる。この導入は、AIの利便性を身近な機種にも広げる取り組みの一環と考えられる。ただし、アップデート時期については状況によって変更の可能性もあるとしており、確実な配信には一定の猶予が必要とされている。

GoogleとSamsungの連携が示すAIの主導権 Bixbyからの移行と今後の焦点

今回のアップデートは、Samsungが自社の音声アシスタントであるBixbyよりもGoogleのGeminiをAシリーズの中核機能として前面に押し出す姿勢を明確にした事例といえる。Jay Kim副社長が「日常の業務の中で自然にGeminiを起動できる」ことを強調したように、ハードウェアボタンによる即時アクセスは、従来のAI利用の敷居を下げるものと位置づけられる。これにより、Galaxyシリーズ全体でGeminiの存在感が一層高まっていく可能性がある。

一方で、GoogleとSamsungの協業には、AI体験の一体化を意識した意図も読み取れる。直感的で意味のあるAI操作を目指すというメッセージは、今後のAndroidデバイス全体に共通する進化の方向性を示唆している。ただし、Bixbyが完全に廃止されるとの言及は現時点ではなく、今回の動きはAI機能の重心が再配置されつつある過程の一部と捉えるべきである。Aシリーズという普及帯モデルを舞台にしたこの変化が、他シリーズにも波及していくかどうかが注目される。

Source:Android Central