NVIDIA(NASDAQ: NVDA)の株価は、中国Huaweiによる新型半導体発表の影響で下落し、年初来の下落幅は21.22%に達している。しかし、多くのアナリストはこれを一時的な調整と見ており、今後の決算発表やAI需要拡大を材料に反発を予測している。2025年末の目標株価は137.50ドル、2030年には最大で362ドルに達する可能性が示されており、マグニフィセント・セブンとの取引関係や米国内5000億ドル規模のAIインフラ投資などが長期成長を支える構図となっている。

特にGPU市場での支配力と、Alphabet・Amazon・Microsoftなどとの密接な取引関係は、NVIDIAの中核的競争力を裏付ける。AI市場全体の年率36.6%成長という前提において、同社は依然として業界の中核を担い続けるとみられる。

NVIDIAの成長を支える三本柱 GPU支配力・顧客基盤・AI市場拡大

NVIDIAは2030年までの株価上昇を見込む成長予測の中で、3つの主要な強みを武器としている。まず、GPU市場での圧倒的な優位性が挙げられる。NVIDIAの時価総額は3.34兆ドルに達し、同業他社であるAMDやTSMCを大きく凌駕している。これは、AI演算処理を支えるハードウェアとして同社のGPUが広く採用されている事実に裏付けられる。次に、顧客基盤の質と規模である。特にAlphabet、Amazon、Meta、Microsoftといった「マグニフィセント・セブン」の大手IT企業が、NVIDIAの売上の40%を占める点は注目に値する。こうした顧客群はAI導入の最前線におり、その需要の波に同社が深く関わっている構図が読み取れる。最後に、AI市場全体の拡大が追い風となる。Grand View Researchのデータによれば、AI市場は2023年の1966.3億ドルから2030年には年平均成長率36.6%で拡大する見通しであり、このトレンドが各業種に浸透することで、NVIDIAの収益機会も加速度的に広がる。

これらの強みが一体となって、同社の中長期的な成長ストーリーを形成している。ただし、成長は既定路線ではない。競合の技術革新や国際的な規制変化によって、展開は一定の変動を伴う可能性がある。よって、投資家は市場の流動性とともに、顧客依存のリスクや設備投資計画の実行精度にも目を配る必要がある。

2030年362ドルに向けた株価予測の内訳と前提条件

24/7 Wall St.が示したNVIDIAの2030年株価目標は362ドルであり、これは現在値からおよそ230%超の上昇にあたる。この予測は、EPSの成長とPERの維持を前提に算出されており、2025年のEPS2.75ドルから2030年には7.24ドルまで増加するシナリオに基づく。中間年を見ても、2026年にはEPS3.83ドル、2028年で5.28ドルと、堅調な利益成長が見込まれている。また、同期間の売上は1212億ドルから2655億ドルへ、純利益も683億ドルから1754億ドルへと約2.5倍の増加が予測されている。これは単なる楽観的想定ではなく、NVIDIAが手がけるAI、クラウド、自動運転領域での技術採用拡大を見越した計画値である。

ただし、この見通しには幅も存在する。楽観シナリオでは2030年に株価506.80ドル(PER70)、悲観シナリオでは217.20ドル(PER30)とされ、実際の着地点は市場環境や業績の変動に左右される。注目すべきは、UBSが2025年の目標株価を185ドルから180ドルに引き下げたものの、評価を「買い」に据え置いた点である。これは足元の調整局面を短期的なノイズと見ている可能性を示す。

こうした株価予測は、企業の数値的成長力だけでなく、AIトレンドの定着や政策的支援、技術革新の加速度にも依存する。投資家は予測数値だけでなく、それを下支えする構造的背景を理解することで、長期的な判断を行うべきである。

Source:24/7 Wall St.