ビッグデータ企業パランティアの株価は第1四半期決算発表を控え急騰する一方、UBSを含む複数のアナリストが過大評価と業績持続性に警戒感を示している。2024年Q1の利益は前年同期比で2倍増が予想されるが、PLTR株は予想PER300倍超と高水準で推移しており、政権交代による政府支出減のリスクが大きくのしかかる。

目標株価は現在水準から平均で約30%の下落が示唆されており、評価が高まる一方でファンダメンタルズとの乖離が進行している。政府依存の収益構造やトランプ政権下の政策変化を巡り、市場では先行きに対する慎重な見方が広がっている。

政府支出依存による構造的リスクとUBSの慎重姿勢

パランティアは売上の過半を米政府との契約に依存しており、この収益構造が将来の不確実性を増大させている。UBSのカール・キアステッド氏は、ドナルド・トランプ氏が再び政権を握る可能性を念頭に、政府支出の縮小がPLTRの成長に逆風となると指摘する。同氏は4月30日のリサーチノートで目標株価を105ドルに据え置き、同水準は現在の株価から約9%の下落余地を示す。UBSの格付けも「中立」にとどめ、目先の成長に対して慎重な見方を維持している。

こうした指摘は、パランティアのビジネスモデルが特定の財政政策や政治情勢に大きく左右されることを浮き彫りにしている。長期的には民間分野への売上構成比のシフトが望ましいとされるが、現時点ではその動きは限定的であり、業績の持続性を担保する材料とはなり得ていない。政権交代や予算削減が現実となれば、収益への影響は避けられず、株価の反転リスクは依然高い状況にある。

割高なバリュエーションが投資判断の分水嶺に

パランティア株は2025年の予想利益の300倍を超えるPERで取引されており、過熱感が顕著である。比較対象としてNVIDIAのPERが28倍程度であることを踏まえると、この差は市場参加者の過度な期待を映し出していると捉えられる。たしかに第1四半期には前年同期比で利益が2倍増とされており、成長企業として一定の評価は妥当であるものの、現在の水準は利益成長のペースに対して著しく先行している。

このようなバリュエーションは、短期的な株価モメンタムに基づくものであり、実態の収益力や契約の安定性と乖離している可能性がある。特に政府契約というボラティリティの高い領域に依拠していることを考慮すれば、現在の評価水準を長期的に正当化することは困難である。市場が一度冷静さを取り戻せば、株価は一気に修正局面に入る可能性も否定できず、投資判断には慎重な見極めが求められる。

市場コンセンサスが示す30%下落余地の警告

現在のパランティア株に対するウォール街のコンセンサス評価は「ホールド」にとどまっており、目標株価の平均は84ドルとされている。これは直近の株価水準から約30%の下落余地を示唆するものであり、市場の熱狂とは対照的な冷静な分析が広がっている。実際、年初来の安値から80%以上も急騰している背景には、AIブームや政府契約への過度な楽観が色濃く影響しているとの指摘もある。

短期的な材料で株価が急伸する局面では、往々にして市場の平均的評価が後追いとなるが、今回のように一貫して慎重なスタンスが維持されている点は注目に値する。特に長期投資を前提とする場合、こうしたアナリストの評価はリスク管理上、重要なシグナルとなる。今後の決算結果や政府予算動向次第では、現在の評価に見直しが入る可能性もあるが、少なくとも現時点での水準はリスク許容度の高い投資家向けといえるだろう。

Source:Barchart.com