Snapdragon 8 Elite 2 for Galaxyが、Samsung Foundryの次世代2nmノード「SF2」で製造される可能性が韓国メディアSEDailyにより報じられた。これは、2026年後半に登場予定の未発表Galaxyデバイス向けであり、Galaxy Z Fold 8やZ Flip 8への搭載が有力視されている。
Snapdragon 888や8 Gen 1での評価低迷を受け、近年はTSMCがハイエンド向けの製造を担ってきたが、今回の報道が事実であれば、サムスンとクアルコムの再提携がフラッグシップ領域で本格化する転機となる。
Snapdragon 8 Elite 2が採用するSF2プロセスの狙いと背景

Snapdragon 8 Elite 2 for Galaxyが、Samsung Foundryの2nmプロセス「SF2」を用いて製造される可能性が報じられた。これは、近年TSMC主導だったフラッグシップチップの製造構造に変化をもたらすもので、サムスンが再び最先端SoCの量産に名乗りを上げた形である。SF2はGAAFET(Gate-All-Around Field Effect Transistor)構造を採用しており、従来のFinFET技術と比べて理論上はトランジスタ密度の向上や消費電力の削減、性能の向上が期待できる。しかし、Snapdragon 888や8 Gen 1でのパフォーマンス不振により、サムスンは信頼を失い、以後クアルコムはTSMCに委託先を移行していた経緯がある。
今回の選定は、2026年後半に予定されているGalaxy Z Fold 8やZ Flip 8といった折りたたみモデルに向けた差別化要素としての意味合いが強いと見られる。一方で、現行のGalaxy Sシリーズでは引き続きExynos 2600の採用が見込まれており、フラッグシップモデル全体への一斉採用には至らない。これらの状況から、クアルコムとサムスンの関係修復が試験的な段階にあることがうかがえる。フルスケールでの復帰には、SF2の実用性能がTSMCを上回る必要があるが、現段階でその確証は得られていない。
2つの異なる製造ノードにおける設計の難しさと製品戦略への影響
Snapdragon 8 Elite 2は、TSMCの3nm世代「N3P」およびSamsungの2nm世代「SF2」の両プロセスで設計・製造される可能性がある。これにより、同一世代のチップであっても、製造元により微細な差異が生じるリスクがある。実際、異なるトランジスタ構造や電力特性を持つノードに対応したチップ設計は、最適化と検証の負荷が高く、歩留まりや動作安定性において懸念が残る。これは、過去にクアルコムがSnapdragon 8 Gen 1で直面した「チップゲート」問題の再来を警戒する声とも結び付く。
現時点ではGalaxy S26 Ultraに搭載されるチップの構成が流動的であり、TSMC製チップが引き続き採用される余地が残されているが、Snapdragon 8 Elite 2の準備状況次第では、サムスン製チップに一本化される可能性もある。いずれにせよ、クアルコムが2つの異なるノードに対してチップを最適化するという選択は、供給の柔軟性を確保する一方で、エンジニアリングリソースやテスト負荷の面で大きな課題を内包している。製品としての一貫性をどのように保つかが、今後の信頼性評価に直結する重要な焦点となる。
Source:NotebookCheck